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『エンタテインメントの力で持続可能な社会へ』未来の才能と、未知の感動への貢献 『エンタテインメントの力で持続可能な社会へ』未来の才能と、未知の感動への貢献

ハイライト

ONOFF

2022年11月、エイベックスは、「未来の才能と、未知の感動への貢献」という新たなサステナビリティポリシーを発表。マテリアリティ(重要課題)を特定し、エンタテインメント企業の新たな価値モデルの創造を目指してソーシャルアクションをスタートさせた。このタイミングで、サステナビリティへ本格的に取り組むことになった経緯、そしてエンタテインメント企業ならではの未来への貢献とは? 7月に新設されたばかりのサステナビリティ推進室の室長を務める西本京史と、同推進室にメンバーとして加わった井上智春、そして外務省や米沢市などでSDGs推進の要職を歴任しつつシニアアドバイザーに就任した伊藤夢人の3人に話を聞いた。

『エンタテインメントの力で持続可能な社会へ』未来の才能と、未知の感動への貢献

第三者の視点を持ったプロフェッショナル
課題となった本業とのリンク

『エンタテインメントの力で持続可能な社会へ』未来の才能と、未知の感動への貢献

エイベックスはサステナビリティという観点でこれまでも、CSR(=Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)や、個々のアーティストやタレントによる社会貢献活動に取り組んできた経緯がある。しかし、近年、「ESG(=Environment・Social・Governance:経営において必要な三つの観点)や、「SDGs(=Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」といった価値観が社会的に広く浸透していく中で、エイベックス全体としてより体系的なソーシャルアクションに取り組むため、新たに2022年7月、サステナビリティ推進室が発足した。

西本はエイベックスのコーポレート戦略本部の広報室長、井上はエイベックス通信放送株式会社のプロモーション部との兼務でサステナビリティ推進室へ。そして外務省でSDGs国内主流化チームの総括を務め、現在は山形県米沢市のSDGs推進参与なども務めるこの道のプロフェッショナル・伊藤もオファーを受けてサステナビリティ推進室にジョインした。

伊藤「私とエイベックスとの出会いのきっかけは、2017年の国連総会でのプレゼンテーションでした。現総理で当時は外務大臣だった岸田さんがニューヨークへ訪れ、官民パートナーシップを重視したSDGs推進への取り組みをアピールしました。そのとき、認知度向上のために起用した著名人がピコ太郎さんで、それをきっかけにエイベックスとの関わりができたんです。その後も、エイベックスの方々とやり取りさせていただいて、2021年に自分が外務省を辞めたときに民間企業の中では真っ先にオファーをいただき、アドバイザーに就任しました」

西本「伊藤さんにお声がけした理由にも繋がる話ですが、サステナビリティ活動を推進していくにあたり、まず考えたのが社内の人間だけでなく、第三者の目線を持ったプロフェッショナルの方に入っていただき、共に取り組んでいくということ。もちろん自社の強みを生かして進めていくことは大事ですが、世の中に必要とされていることや、世の中の基準がどうなっているのかなど、しっかりと見極めた上で進めることを意識しました」

『エンタテインメントの力で持続可能な社会へ』未来の才能と、未知の感動への貢献

井上「今までサステナビリティは、仕事の中で関わることのなかったジャンルなので、とても新鮮ですし、改めてエンタテインメントの本質に向けた仕事をしているように感じます。これまではアーティストや作品を売り出す仕事がメインでしたが、今はその先を見据えた取り組みを意識するようになりました。大袈裟な表現かもしれませんが、心の健康を保ち、人が人らしく生きるためにエンタメは必要不可欠な分野だと考えているので、エンタメを通じて貢献できることに意義を感じています」

課題となったのは、エンタテインメント企業として掲げているスタンスや、実際に行なっている活動などに関して、どの部分がサステナビリティとリンクするのか──。

伊藤「私としてはまず、エンタテインメント企業のサステナビリティ/SDGsへの取り組みを調べるところから始めたのですが、世界的に見ても苦労しているケースが多いことが分かりました。特に、SDGsは17の目標と169のターゲットに細かく分類されているのですが、エンタテインメント企業にはダイレクトに当てはまる内容がほとんどない。本業とソーシャルアクションをリンクさせることが難しく、しいて言えば普及・啓発を一生懸命やっているエンタテインメント企業が多いのが現状です。」

エイベックスが今回の一連のアクションに対して、“SDGs”ではなくあえて“サステナビリティ”というワードを使っているのは、そういった背景が影響している。SDGsは、「2030年までに達成すべき目標」であるが、それに対してエイベックスはSDGsだけでなく2030年よりさらに先の未来も見据え、エンタテインメント業界におけるサステナビリティを主導する存在を目指して動き出したのだ。

“攻め”のサステナビリティで
新たな価値モデルを創造

『エンタテインメントの力で持続可能な社会へ』未来の才能と、未知の感動への貢献

エンタテインメントとサステナビリティの関連性を明確にするため、メンバーでまず行ったのがワークショップ。そこで議論されたのは、「エイベックス自身が企業理念を踏まえて重視していること」と、「社会からエイベックスが期待されていること」だった。

西本「アーティストや作品を通じて人々に届ける感動や楽しさは、エイベックスの価値の中核であり、同時に社会からも求められている部分でもあります。そこでエンタテインメント企業として、持続可能な社会に貢献する新たな価値モデルを創造するために、『「無形の豊かさ」を創る、届ける』『「次世代」を創る、届ける』『「無形の豊かさ」と「次世代」を創るための土台となる組織づくり』の三つのマテリアリティを特定し、『未来の才能と、未知の感動への貢献』というサステナビリティポリシーを掲げました。」

そして西本は、サステナビリティポリシーやマテリアリティを定めていくプロセスにおいて、エイベックスが新たに定めた“企業理念”の存在が大きかったと語る。

西本「エイベックスは2022年7月に、『エンタテインメントの可能性に挑みつづける。人が持つ無限のクリエイティビティを信じ、多様な才能とともに世界に感動を届ける。そして、豊かな未来を創造する。』という新たな企業理念を発表しました。これはエイベックスの活動目的と社会的な存在意義を明確化したものですが、だからこそサステナビリティポリシーやマテリアリティは、企業理念につながるものにしたいと考えていました。」

西本が社内の評判を聞きつけ、サステナビリティ推進室への参加を打診したのが井上だ。メディアを通して、エイベックスのサステナビリティに関する情報発信を担っており、井上の仕事に関して西本は「社内でのキャリアがあることも重要でした」と語る。

西本「サステナビリティ活動を推進していくためには、社内の様々な関係部署の協力が必要です。そのときにキャリアを積んでいて信頼のある井上のような存在がいてくれることは、とても心強く感じています」

ワークショップや社内の関係部署とのやりとり、そして外部の企業や機関投資家との意見交換などを含め、話し合いを重ねて形作られたマテリアリティ。さらにそれらは、大きく二つの側面で考えられる。

ひとつは、サステナビリティ貢献の中でも“守り”の部分。それはコンプライアンス、コーポレートガバナンス、といった企業の社会的責任に基づくもので、企業として取り組んでいることをしっかりと情報開示することで、社会的な信用を担保してくれるものだ。

そしてもうひとつが、エンタテインメント企業ならではの“攻め”のサステナビリティ推進。

伊藤「エイベックスにはすごく多様なアーティストがいるので、さまざまな境遇のファンに生きる活力や感動を届けることができます。マテリアリティの中の『「無形の豊かさ」を創る、届ける』は、自社の強みを活かした“攻め”のサステナビリティ推進にあたります。まさにエンタテインメント企業ならではの領域です。また、『「次世代」を創る、届ける』として、未来を創造する多様な人材を発掘・育成すること、さらにはテクノロジーを活用した経済・社会・環境を調和する“次世代”コンテンツを生み出すこともエイベックスの強みを活かした貢献であると思います」

その“守り”と“攻め”を軸にしてすでに具体的なアクションプランを策定。今後に関しては、社内での浸透を広げつつ、アクションプランに関する取り組みを定期的にレビューしながら、エンタテインメント企業ならではの活動を積極的に推進していく予定だ。

2030年より先の未来
ポストSDGs時代を見据えたアクション

『エンタテインメントの力で持続可能な社会へ』未来の才能と、未知の感動への貢献

サステナビリティという分野に関して、これまで個々の活動の発信は行ってきたが、エイベックスという会社単位での発信はなかなか出来ずにいた。これから先、さまざまな形で行われるエイベックスのアクションに対し、業界内の反響は大きくなるはずだ。

西本「例えば、エイベックス所属のアーティストやタレントが全国の教育機関で「才能や夢を信じる力」の大切さを伝える出張授業「avex class」を行うことは未来の才能への貢献と捉えることができます。またすでに、サステナビリティ推進室に大学生のインターン制度の導入なども進めており、それらは、マテリアリティの中で言う『「次世代」を創る、届ける』に繋がっていく未来へのアクションです」

井上「私がサステナビリティ推進室に入ることになった際、社内はもちろん、社外の方からも『何か一緒にできませんか?』というご提案やお声がけをたくさんいただきました。改めてこの領域はすごく注目されている分野だということを感じています」

イメージのなかった会社がやるからこそインパクトは生まれる──日本を代表するエンタテインメント企業としてのアイデンティティは失わずに、SDGsを超えたサステナビリティのアクションに貢献することこそ、エイベックスが今まさにチャレンジしているミッションだ。

伊藤「エンタテインメント企業は社会的影響力が大きいからこそ、今回はサステナビリティ推進と本業との融合が非常に重要でした。SDGsの前文にもある、『すべての人間が豊かで満たされた』状況をつくるというところにエンタメは大きく貢献ができますし、エイベックスの強みである次世代の才能を育てるということも、そこに繋がります。2030年より先の世界も見据えつつ、サステナビリティへの貢献をエンタテインメントという本業の中で形にするというエイベックスの挑戦は、業界的に見てもすごく画期的な取り組みです」

井上「人間が人間らしくいられるためには、エンタテインメントが必要不可欠です。日本全国から世界まで、人生を豊かにするようなドキドキやワクワクを届けていくことは、エンタテインメント企業ならではのサステナビリティへの取り組み。そして次世代へ未来を切り開いていく道標になることを目指していきたい。エイベックスという個性を活かしながら、これからも常に新しいことに挑戦していきたいと思います」

西本「社会の課題にアーティストやタレントと一緒に取り組み、多くの人々に活動を届けた結果、サステナビリティに興味・関心を持った当事者を増やすことに繋がっていく。その貢献が、エンタテインメント企業であるエイベックスだからこそできる強みであり、核となる部分だと思っています」

サステナビリティという言葉が、社会とそこに生きる人々に浸透しつつある現代。多くの人にとってその言葉からイメージし、守ろうとしているものは自然環境やエネルギーといった“有形”のものだ。しかし今回エイベックスが始めたアクションは、心にもたらす“無形の豊かさ”を感じられる。エンタテインメントだからこそ可能な才能と感動への貢献──それこそが、新たな未来を切り開くサステナビリティの表現方法になりうるだろう。

『エンタテインメントの力で持続可能な社会へ』未来の才能と、未知の感動への貢献

(写真左)
エイベックス株式会社
サステナビリティ推進室
チーフスーパーバイザー
井上 智春

(写真中央)
エイベックス株式会社
サステナビリティ推進室
室長
西本 京史

(写真右)
エイベックス株式会社
サステナビリティ推進室
シニアアドバイザー
伊藤 夢人

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