社会全体が新しい時代の価値観を取り入れ、目まぐるしく変化していく昨今。エンタテインメント業界においてはコロナ禍という状況も加わり、ライヴやイベントなどを取り巻く環境が一変した。そんな転換期に就職活動を行い、エイベックスに入社した新卒社員はこれからのエンタテイメントに対してどのような未来を見据えているのか。今回はエイベックス・エンタテインメント株式会社(以下、AEI)で演劇の制作に携わる岡美優里、ビジネスアライアンス事業本部に所属し営業を担当するバーガー冬馬と郭羅鉉、プロモーションを行う鈴木絢子。そしてエイベックス・ピクチャーズ株式会社(以下、API)でアニメ制作に携わる牧野哉帆による座談会を実施。エンタテイメントが持つ課題や可能性について、新卒ならではの視点で語った。
(左上から)牧野哉帆、郭羅鉉(左下から)バーガー冬馬、岡美優里、鈴木絢子
エンタテインメントの可能性を最大限に
アイデアを重視したエイベックスの多様性
リモートでの就職活動やオンライン会議など、新しい環境での生活が余儀なくされ、2022年の新卒社員にはそれに対応できる柔軟な思考が求められてきた。まず彼らに投げかけた質問は、入社前にエイベックスに抱いていた印象と、実際に働いてから感じた印象の違いだ。
岡「私は現在、エイベックスが制作する舞台にまつわる業務に携わっています。オーディションの立ち会いのほか、パンフレットやグッズの制作まで内容は多岐に渡ります。入社して感じたことは、新卒でも裁量が大きいという点。あるグッズの制作会議に参加した際も、私が提案した案が採用されました。ロジックの通ったプレゼンができれば、年齢や経験値に関係なく耳を傾けてもらえるのがエイベックスの良さだと感じています」
鈴木「私はラジオや雑誌等の媒体に向けてアーティストの魅力を広めるプロモーターを担当しています。岡の言うように、エイベックスは立場にかかわらず大きな仕事を任せてもらえる環境があるため、成長できるスピードも早いと感じます。入社してすぐに現場で自分を試せるのは大きな魅力ですね」
牧野「僕は、APIが手がけるアニメ制作に携わっています。入社してから常々感じているのは、上司が新卒の意見を大切に汲み取ってくれること。アニメは若い世代を中心に浸透していくコンテンツなので、企画の中心から自分たちのアイデアを取り入れてもらいやすい環境にあります」
郭「僕は、広告代理店やキャスティング会社等に向けた、所属アーティストの営業をおこなっています。僕は韓国で生まれ育ったのですが、自国にいた際、エイベックスは音楽のみに特化したイメージの会社でした。しかし、入社後に感じたのは映画、アニメ、舞台など、さまざまな事業を行っている幅の広さ。営業を行う上で横のつながりを生かすこともできるのが魅力ですね。さらに、所属アーティストとは密接にコミュニケーションを取る機会が多いので、アーティストの理解を深めやすく営業に生かせることもメリットであると感じています」
バーガー「僕はアーティストや映像、SNS運用など、エイベックスのコンテンツを活用した企業の課題解決を提案する営業窓口を担当しています。多種多様なエイベックスの事業を把握した上で営業に挑んでいく難しさがあるのですが、プロジェクトが成功してファンの方から反響を聞いた際に強いやりがいを感じます」
どの社員の回答にも共通していたのは、個人裁量の大きさと事業領域の広さだ。幅の広さで生じる責任の重さに怯むのではなく、積極的に意見を発信し、自然体で仕事に挑むのもZ世代である彼らの特長と言えるだろう。
エンタテインメントに魅力を感じてエイベックスに入社したという点はどの社員にも共通して言える背景だ。そのきっかけとなった原体験と、志望した動機についても話してもらった。
牧野「僕はモンゴル出身なのですが、幼い頃から日本のアニメが大好きでした。生まれて初めて自国で日本のアニメを見たとき、田舎に住んでいた僕には蛇口から水が流れるシーンすら新鮮に映りました。テレビをつけるだけで非日常の世界にワープできるアニメコンテンツの魅力に惹かれ、アニメ事業に力を入れているエイベックスで自分も制作に携わりたいと思ったんです」
鈴木「就職活動をしていた時から、働くなら社会に大きな影響を与えられるアクションを起こしたいと考えていました。様々な社会問題に対しても、例えば音楽が人の深層心理に働きかけるように、エンタテインメントは一人ひとりの意識を変え得る力を持っていると感じています」
「音楽や映像作品に魅了された」といった理由のほかにも、独自の視点でエンタテインメントの持つ力に可能性を感じ、一人ひとりの意識を変えることが出来ればと期待する社員もいた。
固定観念にとらわれない発想で課題解決に導く
グローバルな視点から生まれるアイデア
目まぐるしく変化している社会を冷静に見据える彼らに、エンタテインメント業界が抱えている課題について尋ねると、広い視野を持った回答が返ってきた。
鈴木「日本のエンタテインメントは外国のファンに向けた接点が少ないという点が課題にあると感じています。テレビ番組ひとつとっても、地上波で放送された内容が動画サイトにアップロードされることは少ない。K-POPが世界的な人気を集めている韓国を例に挙げれば、ほとんどの音楽番組がWEBで閲覧できます。世界各国のまだ見ぬファンを獲得するためには、国内だけでなく、世界に目を向けて発信していくことが重要だと考えています」
郭「韓国で育った僕の視点で補足すると、日本には世界2位の規模を誇る音楽市場があるので、海外を意識せずともマネタイズが完結できている側面があると思います。その点、世界7位と遅れをとっていた韓国は世界へ発信せざるを得なかったという経緯もあるんです。日本のエンタテインメントはまだまだ発展の余地があるため、エイベックスから世界に通用するアーティストやコンテンツを生み出し、ワールドワイドな展開を行っていきたいです」
制約からの解放を経て変化する
ネクスト・エンタテインメント
緊急事態宣言下でイベントの自粛要請が行われ、ライヴや大型フェスの中止が相次いだ2020年。そしてライヴハウス等の収容人数制限が撤廃となり、声出しが解禁となった2023年へ。制約からの解放を経験してきた彼らがエンタテインメントの未来にどのような思いを抱くのか。
岡「外出自粛中、自宅で過ごすにあたり、多くの方が今までよりも映画や音楽に触れる機会が増えました。そんな中、イベントにまつわる規制が撤廃されたことで、改めて直接現場に訪れる人が増加すると考えています。生で体感するコンテンツの魅力を再認識できる環境にあると思うので、今後業界全体がさらに活気付いていくと信じています」
牧野「コロナ禍に“国民的”と言えるタイトルのアニメ作品が次々と放送されたことで、より世間にアニメコンテンツの必要性をアピールできたと思っています。ただ、それが一時的なものではないかという懸念もあるので、これからアニメ離れが起きないよう、例えば人気の歌手をうまく起用するなど、様々な工夫が必要だと考えています」
これからのエンタテインメント業界に期待を見据えている彼らは、エイベックスが持つ強みをどのように生かしていけるのか。
郭「今はエイベックスが命がけでヒットを作ろうとしている時期だと思います。昨年の7月に策定された企業理念の『エンタテインメントの可能性に挑みつづける。』は、そういった姿勢の表れだと捉えています。音楽に始まり、アニメや芸能事務所、広告代理店のような業務等、幅広い事業を展開する中でどこにでもチャンスはあると考えているので、僕もこの勢いに乗っていきたいですね」
バーガー「エイベックスはカルチャーやムーブメントを生み出すことが可能な会社だと思います。新しい領域で常にチャレンジし続けられる柔軟な環境が強みだと思うので、事業領域の広さを活かして、カルチャーでイノベーションを起こすことができると信じています」
それぞれの可能性を模索する
5人が語るこれからの挑戦
現実を冷静に見据えつつも、未来への希望を持ち、その中で自分ができる可能性を探り続ける彼ら。最後に「これからチャレンジしてみたいこと」というテーマで話し合ってもらった。
郭「広告の相談を受けた際に、『音楽を書き下ろしてタイアップもできますよ』と提案をするなど、広告と音楽を掛け合わせて面白いことを生み出していきたいです。自主的に考え、積極的にアイデアを提案する姿勢を持ち続けることが重要であると考えています」
鈴木「エンタテインメントを通してユーザーの意識を大きく変えられるよう、チャレンジしていきたいです。音楽に限らず、エイベックスの事業領域の広さを活かした最適な方法を探求していきます」
エイベックスや自分自身の現状を踏まえた現実的で誠実な言葉が印象的だ。他にも、エンタテインメントへの情熱が溢れ出る回答も伺えた。
バーガー「多岐にわたる事業に携わることで、人の心に残るエンタテインメントをできるだけ多く生み出していきたいです。過去の自分がエンタメに救われたように、一人でも多くの方に希望を与える仕事がしたいと考えています」
岡「私の担当している舞台では、演技、物語、音楽、空間設計のすべての要素で人の心を震わすことができると信じています。しかし、音楽やアニメと比べるとまだマイナーな分野であることが課題だと感じているため、舞台そのものの認知と興味を拡大できるような、見応えのある作品を届けていきたいですね」
牧野「空前絶後の大ヒットアニメ作品を手がける、その一言に尽きます。目標は興行収入で一位を獲得すること。その結果、『みんなが知っているあのアニメ、エイベックスでつくっているよ』と胸を張って言えるときが必ず来ると思っています」
コロナにまつわる規制は緩和されたものの、日々社会的に深刻なニュースが目に入る中、彼らは社会の現実を冷静に捉えながらも、ポジティブな視点でネクスト・エンタテインメントの未来を見据えていた。ときにシリアスに、ときに目を輝かせながら自分が挑戦できる領域を探し続けるその様子に、今後エイベックスから生み出されるエンタテインメントの新たな可能性を感じることができた。
(写真左上から)
エイベックス・ピクチャーズ株式会社
企画制作本部 アニメ制作グループ 第1アニメ制作ユニット
牧野 哉帆
エイベックス・エンタテインメント株式会社
ビジネスアライアンス事業本部 第1アライアンス営業グループ AMGアライアンス営業ユニット
郭 羅鉉
(写真左下から)
エイベックス・エンタテインメント株式会社
ビジネスアライアンス事業本部 第3アライアンス営業グループ゚ 第1アライアンス営業ユニット
バーガー 冬馬
エイベックス・エンタテインメント株式会社
ライヴ事業本部 シアター制作グループ
岡 美優里
エイベックス・エンタテインメント株式会社
レーベル事業本部 第2コミュニケーショングループ 第2プロモーションユニット
鈴木 絢子