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2024年新卒社員 ネオ・デジタルネイティブ世代が考えるエンタメの未来 2024年新卒社員 ネオ・デジタルネイティブ世代が考えるエンタメの未来

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ONOFF

エンタテインメント業界も様々な変化を求められた激動のコロナ禍を脱したのち、初めてとなる新卒社員を迎えた2024年。社会環境が大きく変化したタイミングで学生時代を過ごし、入社に至ったネオ・デジタルネイティブ世代とも呼ばれる彼らは、エンタメの未来に対して今どんな課題と希望を見出しているのか。

5名の新卒社員に集まってもらい、この業界の現状とこれからについて胸の内にある思いを正直に語り合ってもらった。

2024年新卒社員 ネオ・デジタルネイティブ世代が考えるエンタメの未来

(写真左から)横瀬 ねねか/大澤 文/金子 さとみ/北岡 晴道/重野 玲生ノエル

エンタメを効率的に
届けることだけが仕事ではない

まずは今回集まってくれた5名に、エンタメ業界に飛び込んだ理由と、実際に数か月間働いて感じた手応えを訊いた。

金子「私は心から興味を持てることに挑戦したいという思いがありました。音楽への情熱もあり、人生で最初の就職活動で悔いを残さないよう、この業界に飛び込みました。今はラジオ、雑誌媒体を中心としたアーティストプロモーションを担当しています」

北岡「僕も似てますね。好きなことを仕事にしたいと思っていました。まわりからは『好きなことを仕事にすると嫌いになってしまうよ』とアドバイスもたくさんもらっていました。現在は新人の発掘と育成、アーティスト活動のサポートを行なっているのですが、実際に仕事をしてみると人と人との関わりがすごく大事で、個人戦というよりチーム戦なんだなと実感しています。今のところ大好きな音楽は仕事になっても嫌いにならず、楽しいです(笑)」

2024年新卒社員 ネオ・デジタルネイティブ世代が考えるエンタメの未来

大澤「私は高校生くらいまでエンタメ業界とは別の会社で働きたいと思っていたんですよね。でもコロナ禍でアニメを見たり音楽を聞いたりして過ごした中で、気持ちが落ち込んでいる時にも楽しむものがあることで心に豊かさが保たれていることを実感したんです。だから私も人の心を豊かにしたいという気持ちで、就職活動をしました。私の仕事はチケットのセールスなのですが、プレイガイドや各地のプロモーターなど社外の方々との関わりが多くて、私も人とのコミュニケーションの大切さみたいなところを強く感じています」

横瀬「私はライヴが大好きで、小学生の頃からライヴに行き続けて、学生時代のバイト代もほとんどライヴに注ぎ込んできました。幼い頃から憧れをいだいてきたこの業界には夢があると思い、自然とこの業界を目指すようになっていました。今は新人アーティストの発掘と育成を担うavex Youthで夢を目指す子たちのサポートをしています」

重野「この業界を本気で目指そうと思ったきっかけは映画「風立ちぬ」に感動したことと同時にプロデューサーという仕事に興味を持ったことです。映像コンテンツのパッケージ制作・販売の部署でアニメーション作品の担当をしているのですが、アニメはいろいろな会社が制作委員会として関わってひとつの作品をつくることが多いです。元を辿れば原作者がいて、その人の心から生まれたものでしかないんだと感じるんですよね。だからこそ丁重に扱わないといけないですし、そこにやりがいも見えてきています」

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音楽やアニメーション作品に心を動かされ、その原体験がこれからの人生を決めるきっかけとなりここまで辿り着いた5名。そんな彼らは、現在のエンタメ業界が抱える課題についてどんなふうに考えているのだろうか。

北岡「コンテンツの消費される速度がすごく速くなっているのを感じますね。みんなで同じテレビ番組を見ていた時代から各々が個別にいろいろなエンタメを受け取る時代になって、多方から面白いコンテンツがどんどん生まれてきて、そのぶん消費されてしまう速度が加速しています。でも、だからこそできることは何だろう、と悩んでいるところです」

重野「映像コンテンツもわかりやすい作品が増えていて、そのぶん速く消費されている傾向もあると思います。でも映画は理解するまでに時間のかかる作品も多い。それを観終わったあとにネットで他の人の意見を調べて自分でも考える、という文化がまだありますよね。本当に感動するときって、わかりやすいかどうかは関係ないですし。自分もそういう経験があるからこうしてエンタメをつくる側にいて、“わかりやすい”以外の魅力を感じられる作品をつくりたいと思っています」

大澤「消費の速さも感じますけど、浅さみたいなものも感じます。たとえばフェスには引っ張りだこのアーティストがいて、でもワンマンツアーをやるとなかなか券売が伸び悩むようなことがあります。これってすごく浅い消費がされてしまっているのだと思っています。フェスでちょっと観れたらそれでいいのかと思うとさみしいですし、個人的にはひとつのアーティストを深く応援していきたいタイプなので、なかなか共感できない部分もありますが、それぞれ楽しみ方が違ってきているのだと感じます」

横瀬「私は新人発掘の過程でスカウトした子と面談をする機会があるのですが、憧れのアーティストを尋ねると、『いない』と答える子が結構多いんですよね。理由を訊くと、『いつもSNSのタイムライン上でしか音楽を聴いていないから好きな音楽が分からない』という答えが多いです。面談に来るような子でも好きな音楽が分からないのは、大きな課題だと思っています」

加速する消費スピードに対して、タイパを重視して、より質の高いコンテンツを提供していくことは確かに大切な課題である。しかし、彼らは“より広く・深く”エンタメを届けたいと考えているという。それを実現するためには、ただ受け取ってもらうだけでなく、リスナーの行動変容を起こしていくことが必要になってきていると考えているようだ。

アルゴリズムを乗り超えて、
多様なエンタメを届けたい

わかりやすいコンテンツをタイパよく消費するだけでなく、“より広く・深く”届ける。そんな時代をつくっていくために、今尽力できることはどんなことだろうか。

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重野「挑戦しかない気がします。『トガったもの』『新しいもの』を作り続けていくしかないと。例えばアニメで言えば今“異世界転生モノ”と呼ばれる種類の作品を、各スタジオが競うようにつくっています。今それで利益を出していくことは絶対正しいと思うのですが、異世界転生モノをつくり続けている限りは新しいものは生まれないとも思いますし、それでは現状を打破できないと思います」

北岡「個性的なコンテンツのほうが、好きな気持ちが強くなることもあると思うんですよね。たとえば音楽だったら、初めて聴いたときはあんまりしっくりこなかったけど、聴いてるうちに少しずつその音楽が気持ちよくなってくることってありますよね。それはわかりやすいコンテンツではないかもしれないけど、あえてそういうエンタメをつくってみるのもおもしろいと思います」

一方、昨今の音楽リスナーの興味関心が、プラットフォームのレコメンド機能によって広がりづらくなっている現状に危機感を憶えるという声も。

大澤「音楽コンテンツが多様化していて、アーティストの数もすごく多いので、自分でがんばって探していかないと、本当に好きな音楽って見つけられないと思うんですよ。それで迷子みたいな状態のときにプラットフォームのアルゴリズムで“こういうの好きでしょ”ってオススメされたら、それを聴いてる方が便利ですし楽です。その結果、特定のジャンルしか聴かなくなる人が増えてしまうのも、ある意味でしかたないことなのかなと思います。いろんなジャンルの音楽が存在する中で、効率的に音楽を見つけられるという反面、選択肢が限定されてしまう状況が生まれているのかもしれません」

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SNSでオススメされて聴いている音楽だけが自分の「好き」な音楽だと、そう思い込んでいる人は意外と多いのではないか。自分の好みが広がる可能性を逃してしまっていることに気づき、もったいなさを感じる人も少なくないだろう。

金子「自分でもまだ知らない好きなものを、みんながもっと見つけられる状態になったらいいなってすごく思います」

北岡「SNSのタイムラインが世の中の全てに見えてしまっている人が多いということを、つくり手側は意識していないといけないですね」

『本当に好きだと思える作品にもっとたくさん出会ってもらいたい』と願う彼らとすれば、昨今の状況は、リスナーがアルゴリズムのなかに閉じ込められてしまっているようにさえ感じられるのだろう。その壁を乗り超えて、魅力あるコンテンツを多様に届けていくために、今できることはどんなことだろうか。

金子「例えばジャンルの全然違う人同士のコラボで曲をつくれたら楽しいと思います。そこでアイドルが好きな人とバンドは好きな人とが交わって、それぞれのリスナーの視野が広がるようなことができたらいいですね」

横瀬「新人育成の場で私たちがよく言うのは、たとえばもし自分がある韓国ガールズグループみたいになりたいのなら彼女たちの曲ばかり聴いていてはダメだということ。彼女たちの音楽性のルーツはK-POPじゃなくて、ヒップホップやR&Bだったりダンスミュージックにあるということを知ってほしいです。魅力的な楽曲やパフォーマンスの奥にある多様な音楽的背景にまで注目することが大事です。ジャンルにとらわれず、いろいろなものを深く楽しむことで得られるものはたくさんあると思います。だから、たとえば、影響力のあるアーティストが自分のルーツとなったジャンルの曲だったり、普段の自分のジャンルから外れた曲をリリースするっていうのは意味があると思うし、未来の世代の新しい可能性につながっていくんじゃないかと思います」

2024年新卒社員 ネオ・デジタルネイティブ世代が考えるエンタメの未来

ファンが求められているであろうものだけを世に送り出していくのではなく、意外性のあるものや、受け手の視野を広げることができるようなコンテンツを届けていくことも、これからのアーティストとそこに携わるスタッフたちの責務なのかもしれない。

一方でこんな見方もある。

重野「エンタメの楽しみ方が、みんなで一緒に見ていたテレビから個々で楽しむ形態に移行して、いわゆる国民的大ヒットみたいなものは生まれ辛くなっていると思います。そういう時代に自分がアルゴリズムの中でできることはなんだろうと考えると、結局自分のやりたいことをやる、ってことだと思うんです。世の中が求めているものをずっと量産し続けようとしても、読めないところもある。それよりまずは自分が間違いなく魅力を強く感じていることを突き詰めていくしかないんじゃないかと。ほとんど売れないかもしれないけど、どこかで絶対深く刺さることを信じて。まずは狭い世界でもその第一人者になっていくことが大事なんだと思っています」

北岡「僕もとことん突き詰めていくことだと思います。自分がここだと思うターゲットに突き抜けるくらい楽しんでもらうことで、その周辺にも影響があふれ出て広がっていくようなものだと思うんです。まずは自分が狙っているターゲットに着実に刺しに行くことで自然と他のところにも魅力が浸透していくんじゃないかなと思います」

大澤「私は、小さいバズをいっぱいつくるっていう考え方もあるんじゃないかと思います。いろんな界隈の人に向けて、それぞれ流行るものを提供していく。それひとつでは大きなインパクトは生まれないかもしれないけど、ちっちゃい利益がいっぱい出るように、細分化した好みに合わせた小さいバズを生み出し続けるっていうのも大事かなと思います」

エンタメの消費のされ方が変化してきたなか、コンテンツの魅力をより“広く”認知させることが大切になり、また同時に、本当に好きになってもらうためにより“深く”知ってもらう必要もある。方法はそれぞれだが、そんなミッションを成功に導くのは、自分たちがつくり届けるコンテンツに対する熱意のようなものかもしれない。そんなヒントまでみえてくるようだ。

この先のエンタメ業界のために
自分がやるべきことは

最後に、今後のエンタメ業界と自分自身について、どんな未来を思い描いているのか訊いてみた。

北岡「僕は何年経っても壊れない音楽をつくっていきたいという思いがあります。まさに今日話してきた、チャネルの多様化だったり消費速度の加速がある一方で、何年も経った今でもむちゃくちゃかっこいい昔の音楽に出会えたりすると、すごく嬉しい気持ちになるんです。そういう音楽を僕もつくっていきたいと強く思っています。目の前のバズを狙うのも大事なんですけど、アーティストがこれからも長く活動していくなかで、たとえいつか僕たちと一緒にやらなくなったとしても、その先もしっかり活動できるようにというところまで見据えながら、作品作りをしたいと思っています」

重野「映像コンテンツの企画を出して、プロデューサーとして自分のつくりたい作品をつくるという挑戦をずっとし続けたいです。今自分にできることを世の中と照らし合わせて、その時代にしか生まれないものをつくっていきたい。その時にできる面白いことに挑戦し続けていく、というスタンスでやっていきたいですね」

大澤「私はコンテンツをつくる側というよりは届ける側にいて、今後も届ける側であり続けたいなって思うんですね。チケットセールスの仕事って本当にお客さんと近い距離にあって、私達の手から渡ったチケットを持って来場されるお客さんと現場で話すこともできるような立場なので、そういうところで感じた手応えや喜びを仕事に反映させながら、自分にできることを地道にやっていきたいなと思っています」

横瀬「今日の話にもあったとおりエンタメコンテンツが多様化するなかで、自分が発掘した子が幅広く活躍できるように全力でサポートしていきたいです。avex Youthに通う子たちと向き合いながら練習生活を共に過ごして、華々しい世界を必ず一緒に見たいなと思っています」

金子「アーティストもリスナーも含めて音楽を愛している人たちみんながずっとワクワクしていられる状況をつくっていきたいと思っています。こんなことができるんだ!と驚くようなことを模索して、自分もアーティストもリスナーも楽しくなれたらいいなと思うし、それが会社にとって利益になることだったらもっといいと思う。そういう仲介者みたいになっていけたらいいなと思っています」

2024年新卒社員 ネオ・デジタルネイティブ世代が考えるエンタメの未来

幼少期からソーシャルメディアが身近にある時代で育ち、コロナ禍という社会環境が大きく変わる時期を学生として過ごした2024年新卒社員たち。

ネオ・デジタルネイティブ世代の彼らの言葉は鋭く、エンタテインメントビジネスに対する解像度は高かった。消費者目線と創り手目線の両方の感覚と最先端のメディア環境やリアルな価値を冷静に見据えている視線の先にはどのような未来が見えているのか。この世代の社員の活躍を期待したい。

2024年新卒社員 ネオ・デジタルネイティブ世代が考えるエンタメの未来

(写真左上から)
エイベックス・エンタテインメント株式会社
avex Youth グループ
横瀬 ねねか

エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ株式会社
セールスグループ セールスユニット
大澤 文

エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ株式会社
第2プロモーショングループ 第2プロモーションユニット
金子 さとみ

エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ株式会社
第5レーベルグループ Creative Zeroユニット
北岡 晴道

エイベックス・ピクチャーズ株式会社
コンテンツセールスグループ セールスプロモーションユニット
重野 玲生ノエル

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