close
Loading...

ハイライト

ONOFF

3/21(水)、千葉・幕張メッセにてRAGE 2018 Springが開催された。CyberZとエイベックス・エンタテインメントが主催する次世代型eスポーツ大会・RAGEは2015年にスタート。今回は3タイトルの大会が実施され、その模様はCyberZが運営する国内最大級のゲーム動画配信プラットフォーム『OPENREC.tv』や、AbemaTVのゲーム専門チャンネル『ウルトラゲームス』等で中継された。イベント当日は雪のちらつく悪天候だったが、それを吹き飛ばす熱気と、新たなコトの生まれる息吹が会場中に充満していた。

3タイトルのゲームが登場。
各種エリアも充実した新感覚フェス

RAGEは2015年にRAGE vol.1として初開催。これまでに4つのゲームタイトルで計8回開催され、昨年は1大会あたりの賞金総額が1,000万円を超え、9月に開催された「RAGE vol.5 with シャドバフェス」では、入場者数がなんと1万人を突破する等、その勢いは留まることを知らない。

その流れを受けたRAGE 2018 Springは、幕張メッセというビッグホールで華々しく幕開けした。今回のイベントで採用されたゲームタイトルは、「Shadowverse」(Cygames)、「ストリートファイターV アーケードエディション」(カプコン)、そしてRAGEでは初となる「スプラトゥーン2」(任天堂)。各タイトルで王者を決めるべく、Shadowverse Chronogenesis GRAND FINALS、ストリートファイターV 白虎杯、Splatoon2 Extreme、3つの大会が行われた。

会場では大会が開催されたステージの他に、Shadowverseの展示エリアや有名プレーヤーによる対戦&デッキ相談会エリア、さらにはグッズ販売ブースや飲食エリア、協賛企業ブース等もあり、その様子はさながら音楽フェスのよう。また、人気コスプレイヤーの撮影会もイベントを盛り上げていた。

今回のイベントは、Shadowverseステージに関しては一部有料の指定席(無料観覧席も多数あり)があるものの、入場自体は無料なため、観覧者は好きな時間やタイミングで自由に出入りしていた。また、9時に開場してから夕方〜夜に行われる決勝までの長丁場のイベントだったため、各々が自由席や飲食エリアで休憩しつつ、各ゲームのステージを観戦。さらに、携帯電話の充電エリアも用意されていたのは、ゲーム大会、そしてスマホカードゲームとして名を馳せるShadowverseを採用したイベントらしい主催者側の配慮だった。

eスポーツプレーヤーは、
ファンにとって “スター” のような存在

メインステージで開催されたShadowverse Chronogenesis GRAND FINALSは、Shadowverseシリーズ第7弾の「Chronogenesis/時空転生」を使用し、優勝者には賞金400万円、準優勝者に賞金100万円。そして、両者には今年の年末に開催予定のShadowverse World Grand Prix 2018への出場権が与えられる等、イベントの中心として注目を浴びた。

「ストリートファイターV アーケードエディション」、そして「スプラトゥーン2」のステージにも多くの観客が詰めかけていた。「スプラトゥーン2」は世代も幅広く、下は小学生ぐらいから人気があり、Shadowverseはゲームの特性上、中高生がメイン。そしてストリートファイターは大学生以上のプレーヤー&観客が多い等、3タイトルごとに特色が出ていた。

今回、主催者側も驚いていたのは、RAGEにおいて初開催となった「スプラトゥーン2」の盛り上がり。イベントの序盤は立ち見だったが、大会が進むにつれて予想以上の観客が訪れ、子どもが見えづらいという判断から座っての観戦に変更となった。eスポーツファンのみならず、純粋にスプラトゥーンというゲームが好きな若者も多く集まったことが、その要因と言えるだろう。

また、イベント全体を通して、女性の観客が多かったのも印象的だった。彼女たちは単にゲーム好きというだけでなく、試合後には好きなプレーヤーのサイン会の列に並び、プレゼントを渡す姿もたびたび見られた。それはまるでアイドルグループのサイン会のような光景で、なおかつプレーヤーとファンが同世代のため、会話の内容からも互いの距離の近さを感じた。また、プレーヤーのみならず、ゲーム実況の“イケメン”を目当てに訪れる女性ファンもいるという。

もちろん男性ファンも数多く観戦していた。「スプラトゥーン2」で優勝したTASOのメンバーにサインをもらいにいったある少年は、彼らを前に「尊敬してます!」とあいさつし、サインをもらった後は「これだけでも来た価値がある……」と興奮した面持ちでその場を去っていった。

RAGEはゲームの新たな楽しみ方と、
少年たちの夢や希望を創出する

大会を通じて感じたのは、RAGEを運営するCyberZとエイベックスによる、“エンタテインメントの妙”。Shadowverseのステージでは、3つのビッグスクリーンに臨場感を演出したライティング、選手紹介の煽りや入場時の炎やスモーク等、それはさながら音楽フェスや格闘技イベントのようだった。初めてRAGEを観戦する人は、それまでゲーム大会に抱いていた印象との大きなギャップに驚かされることだろう。CyberZとエイベックス、両者は単にゲームイベントを開催しているわけではなく、ゲームの新たな楽しみ方を創出しているのだ。

それでも日本において、eスポーツが他のメジャースポーツのような“生態系”を作るにはもう少し時間がかかるだろう。それは大会の運営方法や、参加する選手たちの拡充、観客との一体感、メディアによるPRの仕方など。ただしそれは回を重ねることでしか解決しない部分であり、RAGEの急成長ぶりを考えれば、それほど心配はないだろう。そして、そういった課題以上にRAGEが新たな“スター”を生み出しているという事実が、eスポーツにとっての希望だ。

Shadowverse Chronogenesis GRAND FINALSでは、前回のRAGE 2017 Winterでもファイナリストとなったみずせ選手が、決勝で3連勝を飾り圧巻の優勝。この優勝について、RAGEのプロデューサー・大友真吾氏は表彰式で、「2大会連続のファイナリストというだけでも前代未聞の偉業なのに、さらに優勝も成し遂げた。今日はみずせの日でしたし、スターの誕生をとてもうれしく思います。今後、みずせ選手は追われる立場になりますが、彼を中心にRAGEでのShadowverseのストーリーは作られていくでしょう」と語った。

大会のパンフレットに載っているみずせ選手のプロフィールには、“職業:学生”とある。Shadowverseのその他のファイナリストもほぼ学生が占めていた。彼らはまだ知る人ぞ知る存在であり、例え街中で見かけたとしても、気がつく人はそう多くないだろう。それでも彼らは幕張メッセで観客の大声援を浴びながらゲームをプレーし、数百万にも達する賞金を手にしている。そしてその賞金以上に、若者を中心とした観客やファンから絶大なプロップスを得ている。

ゲームプレイヤーにとって、これまでは制作会社に就職する等、主には“裏方”しかゲームを仕事にすることはできなかったように思う。ゲームは趣味であり遊び――それが当たり前だった。しかし、今はRAGEがある。RAGEはこれまで表舞台に立つことのなかった愛すべきゲームプレイー、特に少年たちに、「好きなことを仕事にできる」というひとつの夢や希望を作ったのだ。

イベントの最後には、Shadowverseのプロリーグ開幕戦が5月5日、6日に開催されることや、RAGE 2018 Summerのファイナルが今回と同じ幕張メッセで6月17日に開催予定と発表され、会場から歓声が沸いた。RAGEはぜひ一度、生で観戦することをおすすめする。そこではきっと、ゲームを愛する人々のポジティブなオーラを感じることができるだろう。

Photo by 横山マサト

こんな内容

関連リンク

RAGE オフィシャルサイト
BACK TO INDEX