世界各国でプロ選手やプロリーグが続々誕生している次世代スポーツ競技「eスポーツ」。2019/11/23(土)、国内最大級の大会『RAGE 2019 Winter powered by SHARP』が、幕張メッセで開催された。
『RAGE 2019 Winter powered by SHARP』は、エイベックス・エンタテインメント株式会社/株式会社 CyberZ/株式会社テレビ朝日が協業して運営する国内最大級のeスポーツイベント。本イベントのレポートは2度目になるが、採用ゲームタイトルが変わる場合も多いため、開催ごとに様々な競技が楽しめる。2019年冬の開催となったこの日は、『Shadowverse』や『TEPPEN』、『グランブルーファンタジーヴァーサス』『人狼狂』のステージが立ち並ぶ入場無料スペースと、『モンスターストライク』のプロツアーが開催された有料の特設スペースを展開。同時に、液晶テレビ、スマートフォンなどを筆頭に様々な電子機器を展開する国内屈指の企業、シャープ株式会社がスポンサーとして加わり、コンテンツ/スポンサーともに大会としての広がりを見せている。
プロとの対戦や女性限定大会も
RAGEが作り出す
eスポーツの体験価値と空間演出
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eスポーツは国内でも今まさに成長期を迎えている。RAGE主催者に、国内でのeスポーツイベントの盛り上がりと、RAGEの目標について聞いた。
「RAGEでも、シャープ株式会社がRAGE 2019 Winterのトップスポンサーについたり、RAGE Shadowverse Pro Leagueに福岡ソフトバンクホークスがチームとして参入したりと、国内有名企業から選ばれるようになりました。国内でもだんだんとeスポーツ市場が右肩上がりになってきているので、これから他のアジアに負けない選手人口/市場になると思っております。そのため、RAGEとしては、このチャンスを逃さず、2020年以降は中国/韓国などのeスポーツが盛んなアジア諸国に負けないように発展させていこうと考えています」
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会場に入ってまず印象的なのは、幕張メッセの広大なスペースいっぱいに広がる、タイトルごとに特徴的な演出が施されたステージの数々。導線が綺麗に整理されているため、ステージごとの移動もしやすく、タイムテーブルに合わせて様々な競技を行き来できる。また、プロ選手らが出場するトーナメント戦では、各競技においてそれぞれ実況と解説が用意され、試合中の駆け引きや技の妙を伝えながら、観客の熱気をぐんぐん盛り上げていく。この日会場で初めて知った競技でも、選手たちの高度な駆け引きを楽しむことができる。
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入口すぐの『Shadowverse』ステージでは、白熱のバトルが繰り広げられるメイン会場に加えて、その場に集まった一般参加者が4人ひと組でAQUOS 最新モデルでのチームプレイを楽しめる「4人フライト式トーナメント」や、ゲーム内アイテム&非売品グッズの抽選券をかけてプロ選手と対戦できる「プロ選手 × 星取りバトル」、女性限定大会「Shadowverse Queen’s Cup 2019 Winter」も開催。「観戦」だけでなく「参加」もできるブースが並び、一般のプレイヤーも気軽にeスポーツに参加できる環境が用意されていた。
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一般的なスポーツ競技がプロだけでなくすべての人々に開かれているように、eスポーツもまた、すべてのユーザーが楽しめるもの――。そんな思いが伝わってくるようだった。
また、RAGEの特徴でもあるエンタテインメント性の高いド派手な演出も健在。『ストリートファイター』『モンスターハンター』『デビルメイクライ』といったカプコンの人気キャラクターが多数登場するカードゲーム『TEPPEN』のステージでは、選手入場の際にド迫力のスモークが吹き上がり、その様子はさながら格闘技イベントのような雰囲気だ。
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至近距離で繰り広げられるバトル
駆け引きと技の妙が生み出す興奮
さらに会場奥へと進むと、見えてくるのは今回新たにスポンサーとして大会をサポートしたSHARPのブース。このエリアはテーブルとイスが設けられた休憩スペースになっており、各競技の試合の様子を中継するモニターも完備。
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また、SHARPの新型スマートフォン「AQUOS sense3」、「AQUOS sense3 plus」、「AQUOS zero2」も展示され、実際に触って操作性を確かめられる。高速タッチが可能な4倍速ディスプレイによってスマートフォンでのゲームプレイにも最適な最新機種「AQUOS zero2」の軽さを伝えるため、来場者のスマホの重量を計測できるコーナーも用意され、リラックスしてくつろげるスペースになっていた。こうした、ゲームにとどまらないスポンサーの協賛は、『RAGE』の間口自体を広げるだけでなく、eスポーツを通して様々なユーザー層を繋げていくことにもなるはずだ。
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そして会場奥に設置された有料ステージでは、『モンスターストライク』の「プロツアー 2019 – 2020」を開催。出場プロ選手たちのユニフォーム展示コーナーを楽しみながら有料ステージ内に入ると、お互いにマイクパフォーマンスなどでもけん制し合うプロ選手たちが熱い競技を展開。バルーンなどを手に声援を送る観客と、至近距離で繰り広げられる選手たちのプレイが、相乗効果的に熱気を増していく様子はまさにeスポーツの醍醐味だろう。
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そして、何と言っても大会の目玉競技として注目を集めたのが、RAGEではお馴染みの人気カードゲーム『Shadowverse』の世界大会「Shadowverse World Grand Prix 2019」出場者を決定する「GRAND FINALS」だ。
『Shadowverse』は、8種類のカード属性に分かれたリーダーを持つデッキを使用するオンラインカードゲーム。無数に生まれる可能性の中から、相手の手を読み最適解を選択して勝利を目指す、まるで“進化系チェス”とも言えそうな戦略性の高いタイトル。今大会でのルールは、3つの異なるデッキを用意し、最大5バトルのうち先に3バトル勝利した選手が勝ち上がる「BO5ルール」のトーナメント制。一度勝利したデッキは使えなくなるため、用意したすべてのデッキで勝利する必要がある。各デッキの熟練度に加え、最大5バトルを通しての戦略性も重要だ。
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この日は実況/解説に加えて、プロチーム「レバンガ☆SAPPORO」のリーダー・きょうま氏や、RAGE Shadowverse「Rebirth of Glory / リバース・オブ・グローリー」の優勝者・約束のノノ氏がゲストコメンテーターを担当。8人の選手による熱戦が繰り広げられた。
『Shadowverse』の競技としての醍醐味は、お互いがつねに何手も先の行動や流れを予測してプレイしていく、eスポーツタイトル屈指の頭脳戦が繰り広げられること。選手はそれぞれ青/赤のブースに入って1対1でプレイを行い、相手の手を読んだ有効打を繰り出したり、一気に攻勢をかけたりするたびに、観客のボルテージが上がっていく。たった一手で試合の優勢/劣勢が大きく変わる予測不能の試合展開も大きな魅力になっている。
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熾烈な戦いを勝ち抜いて決勝に進んだのは、「前向き100%」ことさわちゃん選手と、「突撃ナイーブ」ことmagnet選手の2名。決勝戦を前に、「RAGE Shadowverse『Rebirth of Glory / リバース・オブ・グローリー』」での約束のノノ氏の優勝シーンが映像でプレイバックされ、いよいよ試合がスタート。決勝戦に相応しいハイレベルな読み合いを繰り広げながらも、こだわりのデッキ構築で挑んださわちゃんがストレート勝ちし、約6,000人の頂点に。賞金400万円と「AQUOS zero」を手にし、優勝トロフィーを掲げて会場を大歓声が包んだ。
拡大し続ける国内eスポーツ市場
競技性×エンタメ性を両立する
RAGEの未来
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優勝直後のさわちゃん選手に、優勝の決め手やRAGEへの思いを聞いた。
さわちゃん選手「RAGEまでの期間は、毎晩練習に没頭して、ずっと『Shadowverse』をプレイしていました。今回は3つとも環境に合ったデッキを入れられたことが、優勝の要因になったと思います。RAGEは学校の部活で言うと全国大会のような、みんなが目指す目標です。そんな場所で優勝できてよかったですし、僕は大会が好きなので、これからも大きな会場でプレイできる機会が増えてくれたら嬉しく思っています」
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こうした選手と観客が生み出す熱狂によって、世界のeスポーツ市場を追うように、日本のeスポーツ市場は2018年に前年比13倍の48.1億円となり、2022年には99.4億円にまで達すると予想されている。また、現在383万人いるeスポーツファンの総数も、2022年には786万人に増加すると見込まれる。(※)その中にあって、今回のRAGEで感じた手応えはどんなものだったのだろうか。最後にふたたび、主催者に話を聞いた。 出典:2018年日本eスポーツ市場規模は48.3億円と推定 ~Gzブレイン発表~
「シャープ株式会社がトップスポンサーになったことに関して、OPENREC.tv等の配信内でのお客様のコメントからも反響があったことが意外でした。また、シャープ株式会社がついたことでゲームメディア以外でも様々な媒体社様がRAGEに興味をもってくれたことを感じました。次回開催に向けて、今まで以上に来場者、視聴者がもっと増えるように施策は検討し続けたいと思っておりますし、2020年は、ワールドワイドにアプローチしていきたいと考えています」
スポーツ観戦の最大の魅力は、手に汗握る勝負の数々と、それを応援する観客の熱気、そして観戦をより魅力的にする様々な演出の数々によって生まれるもの。今まさに成長著しいeスポーツ界にあって、高い競技性とエンタテインメント性を両立するRAGEの存在は、ますますその熱気を多くの人へと広げる舞台になっていきそうだ。
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