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2014年に初上陸し、日本のダンス・ミュージック・フェスのパイオニアとして、通算37万人を動員してきたULTRA JAPAN。5年目のアニバ―サリー・イヤーを迎える今回は、9/15(土)、16(日)、そして祝日となった17(月)の3日間に渡って、TOKYO ODAIBA ULTRA PARKで盛大に開催された。今年も海外からZEDDやDJ SNAKE、Armin van Buuren、NINA KRAVIZなど数多くのトップ・アーティストがお台場の地に集結。3日目の大トリを務めたZEDDは大雨の中、過去最高の一体感と盛り上がりを見せ、日本のフェス・シーンに記録的な1ページを刻む夜となった。会場で目を引いた新たな取り組みを始め、オーディエンスが見せるファッションや新たなトレンド等から、ULTRA JAPAN及びエイベックスの進化を探った。

音楽とファッションで
“自分が主役になれる”フェス

2017年は全世界20ヵ国で開催され、のべ100万人以上を動員したモンスターフェス・ULTRA WORLDWIDEの日本版であるULTRA JAPAN。本家がマイアミの高層ビル群のド真ん中で開催されているように、ULTRA JAPANもお台場という、気軽に行くことのできる都市エリアで開催されていることがまず大きな魅力だ。それに加え、世界最高峰のDJ、ステージ、サウンドシステムが繰り出す圧倒的な世界観が来場者を非日常へと導く。

開催された三連休、お台場方面に向かうりんかい線やゆりかもめは、普段は見ることの無い華やかなファッションの人たちで溢れた。主に“彼女たち”は電車、もしくは駅で見ると目立った存在だが、TOKYO ODAIBA ULTRA PARKに一歩足を踏み入れれば、逆に地味な格好をしている方が目立ってしまう現象が起こる。ULTRA JAPANは、ワールドスタンダードのダンス・ミュージックを体感できると同時に、特別なファッションも楽しめるフェスであることが、革新性のひとつと言えるだろう。

ULTRA JAPANの定番となっている“チームコーデ”や“ペアコーデ”は今年も健在。露出の多さは共通項として、ブラトップやボンテージパンツにヒール等をオールブラックでコーデするセクシー路線や、発色の良いアイテムに足元は定番もしくはハイブランドスニーカーを合わせるスポーティー路線、この2パターンが特に目を引く。それぞれがこの日のためのスペシャルなファッション・コーデを楽しんでいた。

そういったファッションは、お台場というロケーションが引き出している面もあるだろう。関東近郊在住なら電車でふらっと行ける距離なので準備もそれほどいらない。なおかつ、お台場にはほどよい非日常感があるため、街では少し躊躇してしまうようなファッションでも、「今日だけは特別!」と割り切れてしまう。

この日ばかりは、お台場にちょっと足を伸ばし、最高の音楽の中でとびきりのオシャレをして、自分たちが主役になれる――来場者にその価値観を提供していること、それこそULTRA JAPANが “オシャレをして楽しめる都市型フェス”と称される由縁だろう。

SNS&ストリーミング配信が
リアルタイムのライヴ感を生む

会場では、昨年に続いてULTRA JAPAN とOnitsuka TigerがコラボレーションしたOnitsuka Tiger Street in ULTRA JAPANがメインゲートを入ってすぐのエリアでオーディエンスをお出迎え。音楽、ファッション、アート等、さまざまなジャンルのアーティストたちが作り出すこのエリアは、巨大なシューズのオブジェをはじめとするインスタ映えするスポットが満載。会場に入ってすぐに、来場者たちによる撮影が続々とスタートする。

前項のファッションともリンクする部分だが、ULTRA JAPANにおいてSNSの存在は欠かせない。このサイトでULTRA JAPANが日本で開催されることになった経緯等を紹介したインタビュー記事で担当者は、「ULTRA JAPANはSNSで広がるフェス」と述べていた。その言葉通り、このフェスは会場内でスマホでの撮影がOKなため、フェスの模様や現場でのファッション・スナップがリアルタイムでSNSに投稿され、拡散していく。

ハッシュタグで検索すればその日の模様がずらりと並び、また、来場者はSNSに投稿することで自分たちが楽しんでいる様子や自慢のファッションをアピールできる。オーガナイザー、アーティスト、オーディエンス……特にオーディエンスの作りだす一体感の強さは、ULTRA JAPANならではと言えるだろう。

さらに、例年のYoutubeやLINE LIVEでのライヴストリーミングに加え、今年の新たな取り組みとしてAmazonが「ULTRA JAPAN 2018」のライヴ映像を、Amazonの ULTRA JAPAN特設ページにてライヴストリーミング配信することを発表。また、この配信はTwitchでも同様に視聴が可能となっていた。

これに関しても、以前のインタビュー記事で担当者はこう語っていた。

「今までのコンサートは行った人しか見られないものでしたが、ULTRAは生配信することで圧倒的な世界観を世界中の人に見られる環境を作った。それを見て『すごい! 観てみたい!』と感じた人がどんどん増えて大きくなっていったのがこのイベントであり、そういった試みを日本で初めてやったのがULTRA JAPANです」

SNSではオーディエンスの生の声が拡散され、同時にAmazonやTwitchではライヴ映像が配信される――そういった意味でも、「ULTRA JAPANがその後のライヴ・エンタテインメントに影響を与えた」という言葉に疑いは無いと言えるだろう。

“日本人らしさ”に合う、新しい形の
ダンス・ミュージック・フェス

ULTRA JAPANは飲食ブースも充実し、さらにオフィシャルグッズでは、#FR2やMILKFED.等のファッション・ブランドもフェス仕様のアイテムを展開。“タオルを販売しない”というのはULTRA JAPANのイメージ戦略のひとつだが、それを補って余りあるグッズやアイテムが揃っていた。また、人気動画アプリ・TikTokのブースは、“#ultratiktok”をコンセプトにさまざまなコンテンツを提供。動画撮影のレクチャーや特設スタジオでの撮影会、さらにモバイルチャージャーといった数量限定ノベルティのプレゼントやボディペイントシールなど、盛りだくさんの内容に。ダンサー集団・CYBERJAPAN DANCERSのメンバーも1日2回登場する等、このフェスにぴったりの取り組みは来場者の人気を集めた。

ULTRA JAPANは海外のトップ・アーティストの音楽に触れられることがもちろん大きな魅力だが、ある意味でそこにとらわれず、この日ばかりは自分たちが“主役”となってエンジョイしているオーディエンスたちの姿を会場中で目の当たりにすると、「日本人らしい感覚に合う新しい形のフェスなのでは」と感じた。ことフェスに関しては、日本においてさまざまな事例が存在し、これまで歴史を築いてきた。ただし、その多くはアーティストのライヴを楽しむもので、フェスを創る主役はアーティストだった。

同時に、フェスが行われる場所は都心から離れた場所がほぼ。気軽に行けるものではなく、いつしか常連組との境界線が生まれ、まだ行ったことの無い人にとってはハードルが高かった。その点、ULTRA JAPANはお台場という足を運びやすい場所での開催が、新規のファンが参加するハードルを下げている。同時に、音楽だけでなく高いファッション性を併せ持つことで、ダンス・ミュージックにあまり詳しくない人までも巻き込むことに成功した。

そもそも、日本には花火大会に代表される祭りの文化がある。ただし、花火大会に行く人たちは花火だけでなく、花火を体感できる“場”や、誰かといっしょに花火を楽しめる“時間”が好きなのではないだろうか。それをフェスに置き換えると、日本にはもっと音楽を体感できる“場”や、誰かといっしょに音楽を楽しめる“時間”があっていい。ULTRA JAPANはダンス・ミュージックを通して人と人とを繋げるハブとなり、日本に新しい形の“場”や“時間”を提供しているといえるだろう。

ULTRA JAPANが年々ファンを増やしているのは必然。これまで「音楽を聴いたり、踊ったりするのは好きだけど、フェスは遠いし、行くのが大変」と思っていた人や、「あっという間に夏も終わって、全然遊びに行けなかった」という人にとっても、このフェスは受け皿となる。実際に足を運んでみて、ULTRA JAPANは単なる音好きのためだけのイベントではないことを痛感するとともに、このフェスの根底には、ダンス・ミュージックのコアな良さを失わずにマスに届けるという、純なまでのエイベックスらしさが流れていた。

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