持続可能な開発目標(SDGs)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます(日本の取組 )。
2022年、エイベックスはサステナビリティポリシーとそれに基づくアクションプランを発表しました。私たちはこの検討の中で、2030年までの目標であるSDGsの個別目標(17ゴール・169ターゲット)のみならず、“Beyond SDGs”とも呼ばれる2030年の先の世界にも通用する広い意味での「持続可能性(サステナビリティ)」への貢献を経営戦略にどう位置付けるか議論を進めました。結果として、エンタテインメント企業の持つ発信力を最大限に活かしつつ、「サステナブルな社会」の実現に向けて優先的に取り組むべき3つの主要テーマと7つの個別項目からなるマテリアリティ(重要課題)を特定しています(詳細はこちら)。
マテリアリティを基にして策定したサステナビリティポリシーとアクションプランは、SDGs実施期限である2030年よりも先の世界でも通用する「サステナビリティ」への貢献を目指していますが、当然ながら、SDGs達成にも貢献する内容となっています。以下のとおり、SDGsの前文や政治宣言で謳われている「繁栄(Prosperity)」や「平和(Peace)」といったビジョンの実現や個別ゴール・ターゲットに具体的に貢献していきます。
エンタテイメント企業であるエイベックスは、人々の「繁栄」の象徴として、感動体験や楽しみなど「無形の豊かさ」をあらゆる人に提供することをサステナビリティへの貢献として重視しています。これは、SDGs前文で決意されている「すべての人間が豊かで満たされた生活を享受すること」といった「繁栄(Prosperity)」の観点、さらには紛争や災害下でも適切なエンタテインメントを提供することによる、恐怖や緊張からの安らぎといった「平和(Peace)」の観点などに貢献するものと考えています。また、所属タレントやアーティストによる中高生への感動体験提供やキャリア教育はSDGsゴール4(質の高い教育をみんなに)、音楽やダンスなどの文化の保護・発展の取り組みはSDGsの政治宣言36やゴール11(住み続けられるまちづくりを)に貢献しています。
発信力のあるエンタテイメント企業として、ダイバーシティ&インクルージョンに関する人々への意識啓発、さらには社内で多様な人材が活躍できる環境づくりに取り組んでいます。SDGsでは、前文及び政治宣言で「包摂的な社会」の実現を繰り返し述べており、また、ゴール4(質の高い教育をみんなに)、ゴール5(ジェンダー平等を実現しよう)、ゴール8(働きがいも経済成長も)、ゴール10(人や国の不平等をなくそう)、ゴール11(住み続けられるまちづくりを)、ゴール16(平和と公正をすべての人に)などの具体的なゴールに貢献すべく取り組んでいます。
未来を創る「次世代」の発掘・育成は、サステナブルな社会への貢献において最も主要なテーマの一つです。エンタテイメントを創造するタレントやアーティストなどの発掘・育成と経済的自立支援はもちろんのこと、タレントやアーティストによる中高生への「才能や夢を信じる力」の大切さ伝える出張授業や大学生などのパートタイムでの就労受け入れなどを通じて、サステナブルな社会を共に創造し受け渡していく「次世代」の育成を重視しています。SDGsの具体的なゴールとしては、ゴール4(質の高い教育をみんなに)のほか、タレントやアーティストなどの経済的自立支援を通じたゴール8(働きがいも経済成長も)、「次世代」との協働を通じたゴール17(パートナーシップで目標を達成しよう)などに具体的に貢献していきます。
エンタテイメント企業の発信力を活かした「サステナビリティ」に関する世界的潮流を伝える普及啓発も重要な取り組みの一つで、国際機関、公官庁、自治体、民間企業など、様々な主体と協働しながら取り組みを進めています。地域・コミュニティレベルやグローバルなレベルにおいては、単なる普及啓発にとどまらず、事業推進を通じて地域振興や途上国開発を後押ししています。SDGsの具体的なゴールとしては、様々な分野の普及啓発活動によるゴール4(質の高い教育をみんなに)、ゴール12(つくる責任、つかう責任)、ゴール13(気候変動に具体的な対策を)などへの貢献のほか、マルチパートナーシップ強化を通じたゴール17(パートナーシップで目標を達成しよう)、さらには経済発展の後押しによるゴール8(働きがいも経済成長も)やゴール11(住み続けられるまちづくりを)などに具体的に貢献していきます。
テクノロジーを活用した次世代コンテンツやスマートライヴの開発・推進は、SDGsの前文や政治宣言などで繰り返し述べられている、持続可能な開発の三側面である「経済・社会・環境」が調和された世界の実現に向けた重要な貢献と考えています。付加価値のあるイノベーション技術によるゴール8(働きがいも経済成長も)やゴール9(産業と技術革新の基盤を作ろう)への貢献のほか、メタバース活用やオンラインゲームなどによってあらゆる人がエンタテイメントを楽しめるユニバーサルな環境づくりを通じたゴール10(人や国の不平等をなくそう)やゴール11(住み続けられるまちづくりを)、さらには環境負荷を考慮したスマートライヴ実施などを通じたゴール7(エネルギーをみんなに。そしてクリーンに)、ゴール13(気候変動に具体的な対策を)などに貢献していきます。
上記での「無形の豊かさ」と「次世代」を軸としたサステナブルな社会への実質的な貢献には、それを推進するための組織文化が必要です。東証プライムに上場する企業として、透明性のある経営体制とコンプライアンスの遵守体制を引き続き維持・強化することにより、SDGsゴール16(平和と公正をすべての人に)に貢献していきます。また、社員やタレント・アーティストに加え、次世代を担う大学生も参画するサステナビリティ推進室を創設してサステナビリティ推進のアクションを社内外に浸透させるための取り組みを行っており、マルチパートナーシップによるゴール17(パートナーシップで目標を達成しよう)、さらには持続可能性に関する情報の対外的な報告を含むゴール12(つくる責任、つかう責任)にも貢献しています。
社員の柔軟な勤務スタイルや健康維持、さらには次世代育成対策推進法に基づくワークバランスの向上など、働きがいの充実にも積極的に取り組んでいます。また、児童労働・強制労働の排除や消費者・ファンの個人情報保護など、あらゆるステークホルダーの人権尊重のための体制整備やコンプライアンスポリシー研修などもサステナブルな社会を推進する一員として重視しています。これらの取り組みを通して、ゴール3(すべての人に健康と福祉を)、ゴール5(ジェンダー平等を実現しよう)、ゴール8(働きがいも経済成長も)、ゴール10(人や国の不平等をなくそう)、ゴール12(つくる責任、つかう責任)、ゴール16(平和と公正をすべての人に)などのゴールやターゲットに広く貢献していきます。