エイベックスのDNAを継承する新ダンス&ボーカルグループの育成を目指した『a-genic PROJECT』が、今春からスタートした。オーディションを勝ち抜いた男女12人が、期間限定ユニットとして活動しながら、正式メンバーの座を争うサバイバル企画。このプロジェクトを通してエイベックスが目指すもの、そして“DNAを継承する”というミッションに込められた想いとは? プロジェクトを統括するエイベックス・エンタテインメント株式会社の河田淳一郎と、新人発掘・育成を担当するエイベックス・マネジメント株式会社の三上雄亮、マネジメントのサポートを行うエイベックス・マネジメント株式会社の稲村英将に話を聞いた。
TRF、AAAらのDNAを継承する
「エイベックスど真ん中」への
チャレンジ
a-genic PROJECTは、4月に実施された公式オーディションで男女12名を選出。候補者は約3ヵ月の期間限定ユニットとして活動し、ライヴやレッスン、制作作業などの実践的な経験を積みながら、最終的に人気やポテンシャル、スピリットなどを総合的に評価され、正式メンバーが選ばれる。
河田「プロジェクトがスタートしたのは去年の夏ごろ。エイベックスには遡るとTRFがいて、邦楽アーティストとしてはダンス&ボーカルのグループから始まった会社です。そして今はAAAが自社マネジメントの中にいて、おかげさまで4大ドームツアーをできるまでに成長しました。またそれに続く形でDa-iCE、lol(エルオーエル)といった“歌って踊れる”アーティストのカルチャーがエイベックスにはあります。今回のa-genic PROJECTは、さらにその次の世代を作っていこうという想いからスタートしました」
今回のプロジェクトのミッションは「AAA、Da-iCE、lol(エルオーエル)に続く、エイベックスのDNAを継承するダンス&ボーカルグループの創出」。ちなみにプロジェクト名となったa-genicの“-genic”には、「…の遺伝子を有する」「…に適する」「…を生み出す」といった意が込めている。
河田「エイベックスのDNAを継承するという言葉に関しては、エイベックスのど真ん中、つまりTRFからAAAらに継承されてきたダンス&ボーカルのど真ん中に挑戦するという意味合いです」
それにあたってオーディションでは、三者三様の視点から審査へと臨んだという。
三上「正直なところ『この子は!』という形でピタッと決まったわけではなく、『ここは良いけどここは足らないね』という子がほとんど。ただそういう子たちが活動していく中で、どれだけその足りない部分を伸ばしてくれるのかーー可能性や伸び代といった部分を重要視しました」
稲村「スキルとかは河田が見てくれているので、僕が見るとしたら想いの強さ。まっすぐにどこを目指して、そこにどれだけの想いを懸けられるか。そういう人間的な部分を見ています」
河田「例えば目の強さは想いの強さから出てくるもので、そういうところも本人にどれだけ伸び代があるかに繋がってくるんですね。あとはある程度、男女混合というのを想定して審査しました。単純にかっこいい、かわいい、スキルが高いとかだけではないメンバーたちの調和のようなものが、男女混合グループには重要だと考えています。男性グループにいたらすごく映える子も男女混合グループだと浮いてしまうこともあるし、男女で混ざるとお客さんが感情移入しにくくなるケースもある。そういった視点から男女グループに合うキャラクターかどうかも大切にしました」
サバイバル・ユニットで
魅せる
「今の時代ならではの共感を得る形」
a-genic PROJECTの構想がスタートしたのは去年の夏ごろと前段に書いたが、それはエイベックスとして『男女混合のダンス&ボーカルグループのプロジェクトをやるぞ』ということではなく、エイベックスにいる以上『そういうグループを作らなきゃ』という想いは常にあったと三上は語る。
三上「僕らも今回のようなときのためにいろいろな人材を集めていましたし、今までも同じようなテーマのプロジェクトは事実あったんです。ただ河田が旗を振って本気で動き出すぞっていうタイミングが去年の夏だった、というイメージですね。実際やるとなったら、今まで僕たちが育成で抱えていた子、もちろんエイベックスのアカデミーにはダンス&ボーカル、それこそAAAなどに憧れている子はたくさんいるので、まずそういう子たちも含めて河田や稲村に見てもらいました」
4月のオーディションで選出された12名の中には、エイベックスのアカデミーで腕を磨いている生徒もいれば、アカデミーとは異なる場所で才能を発揮する有望株もいる。どちらにせよ、そういった若きスター候補生にとって、このプロジェクトは「待ってました!」と言えるものだろう。
稲村「これまでもいろいろな出口はあったと思うのですが、その中の一つとしてエイベックスが得意とする男女混合のダンス&ボーカルグループのプロジェクトが新たに立ち上がった。育成している子たちにとってその出口はすごく励みになるでしょうし、目標が明確に見えたことで頑張るきっかけになると思います」
そして今回のサバイバル企画は、ドキュメンタリーシリーズとして毎週金曜18時にYouTubeチャンネルで公開されている。5月末からYouTubeで配信されている動画では、オーディションから強化合宿、制作風景、そしてDa-iCEホールツアーやa-nation地方公演でのライヴまで、メンバーの一挙手一投足に密着。YouTubeのコメント欄には、放送回を重ねるごとにファンのコメントが増加している。
河田「サバイバル・ユニットというやり方は、オーディションを企画するのと同時進行で決まっていきました。いきなりオーディションだけで人を決めて、グループとしてドンと発表するのではなく、グループが作られるまでの過程にある悲喜交々を表に見せていくことで、今の時代ならではの共感を得る形を作っていけると考えたんです。あとはやはり、人材の見極めという部分もあります。今ってますます、見かけだけではごまかせなくなってきている時代だと思うんですね。かっこいいものを着せて、かっこいい楽曲を与えてデビューさせて、にわかに人気が出るみたいなことが無くなってきている。そういう意味で本人たちの実力が本当に問われるし、それを見極めるにはオーディションで数回見ただけではやはりわからない。それもサバイバル・ユニットという形にした理由の一つです」
a-genic PROJECTに込める
覚悟と決意
その先に描く新たなストーリー
今回のプロジェクトは、エイベックスのDNAの継承という大きなミッションを軸に国内でのポジションを確立するとともに、アジアにおいても男女混合ダンス&ボーカルグループという独自性の高い差別化戦略を計れる可能性を秘めている。それにあたって、今の若い世代ならではの強みはあるのだろうか。
河田「それは作り方、見せ方からあると思っていて。今の子たちは自分で楽曲を作れる子も多くて、実際にa-genicのメンバーの中にもそういう子はいるんですね。昔はダンス&ボーカルのグループと言えば曲も含めて用意されてあるものをやって、キャリアを重ねていくうちに自分で作詞をしたりするようになっていった。でも今はそれももっと早い段階からやっていくんだろうなと。あとはファンコミュニケーションに関しても、SNSというものがアーティスト環境を大きく変えたように、ファンとの距離感も変わって、さらにボーダレスにもなってきている。ただ、根本にあるアーティストがお客さんの心を掴んだり、何かを響かせたりという感情移入の部分に関しては変わっていないと思います」
河田は2010年からAAAの担当を務め、彼らのストーリーを見てきた。そして、男女混合ダンス&ボーカルグループの魅力を現場で誰よりも感じてきた。そこで得たものが今回のa-genic PROJECTで最大限に生かされているのだろう。同時に、三上、稲村ともにこのプロジェクトの先も見据えていた。
三上「僕はどちらかというとグループとして走り出した時点で、もちろんあのメンバーたちに思い入れはあるのですが、僕はこのa-genic PROJECTが一発で終わらないように、これが突き抜けて次の段階が来たときのために今のうちから動いていかなければいけないなという感覚です」
稲村「先輩アーティストたちが活躍して後輩に背中を見せるとともに、後輩たちの真っすぐな頑張りが先輩たちに刺激を与えられるような、いい作用が生まれればいいなと思います」
河田「a-genic PROJECTのメンバーが『デビューできて良かったね』で終わらないようにしたいと考えています。あとは改めてこれまでの経験から、男女混合のダンス&ボーカルグループって楽曲のキー設定やダンスなど表現上の制約は多いんですが、男の子だけ女の子だけのグループにはないグルーヴ感が出せるといった独特の魅力があるんです。そういう男女混合のグループに対する仮説のようなものが僕の中にはあるので、それをa-genic PROJECTを通してエイベックスに役立てるときが今なのだと思います」
この夏、晴れて新ダンス&ボーカルグループの正式メンバーに選ばれるのは果たして誰なのか。現時点でも「四六時中悩んでます」と語る河田の言葉からも伝わるように、若き人材の未来を左右する決定を下すそのプレッシャーは、並大抵のものではないだろう。それでもエイベックスのDNAを継承することに真っ向から挑むその姿からは、このa-genic PROJECTへの覚悟と決意が伝わってきた。
各メンバーに聞く、
このプロジェクトへの想い
【ANRI】
ずっと夢だったダンス&ボーカルグループに入ること。その夢を掴むチャンスをくださったのがこのプロジェクトです。
必ず自分で夢は掴む! 最後まで全身全霊自分のすべてをかけて挑み、絶対に正式メンバーに入りたいという想いでいます。
そしてどんなときでもファンの方々にとって支えであり、みなさんの明日へと繋がるような存在でありたいです。
【ATSUKI】
このプロジェクトは、アーティストとしてメジャーデビューだけではなくその先の景色を見るチャンス、切符だと思います。
応援してくださるファンの皆様にとって、憧れであり、日頃のお仕事や学業の励みや元気になるような存在でありたいです。
これから先、僕と皆様で一緒に大きくなりたいと思ってます。
【AYANO】
私はこのa-genicプロジェクトに人生を懸けて挑んでいます。自分の夢を実現できる大きなチャンスなので。
私が先輩アーティストの方々を見て憧れたように、私のダンスや歌で少しでも元気付けられたり、頑張ろうと思える、ファンの方々の原動力になりたいです。
【JOE】
このプロジェクトをやるからにはもちろん勝ち抜いて、「正式メンバーとしてデビューというスタートラインに立つ!」という気持ちは誰にも負けていないと自信を持って1日1日真剣勝負という想いです。
そして、応援してくださる方の日常で起こるさまざまな喜怒哀楽の側に、いつも自分の歌が寄り添えるアーティストを目指したいです。
【KAKERU】
小さいころに夢を与えてくださったAAA西島隆弘さんや、今まで応援して下さっている方々への感謝と、ラストチャンスなので僕の人生で悔いのないよう本気で掴みたいです。
僕の表現するパフォーマンスを観て、ファンの方の毎日に笑顔や元気を与えられる存在になりたいです!
【KOHARU】
私は歌があまり得意ではないけど、歌って踊ってたくさんの人に幸せを感じてもらいたいって思うようになりました。
ここで諦めたらダメだし、絶対になりたい。だから努力をしなきゃいけない。毎回、不安ばかりだけど全力でやり遂げたいです!
こうなりたいって思えるような憧れ、将来の夢の目標の人や、みんなの元気の源でいたいです。
【MAIKI】
a-genicは僕にとって恩人です。だからスタッフさんやメンバーに本当に感謝しています。
散々悩んだ末に、ここになら自分の人生を懸けてもいいと思えた、素敵なチームです。
僕はファンの方に非日常を提供する存在でいたいです。どこか退屈な毎日に刺激や夢を与えてくれる、そんな存在になりたいです。
【MARIA】
私のすべてを懸けています。
ここで輝きたいという想い、今までの経験、これからの秘めた可能性をこのプロジェクトに注ぎ、強い芯を持ってグループに輝きをもたらしていきます。
何かを始めるときは必ずきっかけが訪れると思うので、自分自身がそのきっかけになれたり、私を見てパワーを感じ、1日をより幸せにできる存在でありたいです。
【RYUKI】
僕はこのプロジェクトに人生を懸けています。
これまでの経験を生かし、最大限の力を注いで、ボーカルの柱になります。絶対に正式メンバーになります。
ファンの方無しで僕らは成り立たないので、感謝の気持ちを忘れず、音楽を通していろいろ色々な感情を感じていただき、僕らの音楽が生き甲斐となるような存在になりたいです。
【SHUNTO】
このプロジェクトには本気で受かりたいと思っています。
こんなチャンスはなかなかないと思っているのでこのチャンスをものにしたいです。
ファンの方々にとってかけがえのない存在になりたいです!
【TEN】
以前活動していたグループが解散して本当に悔しくて、応援してくれていたファンの皆さんにも家族にも迷惑をかけてしまったので、二度とないチャンスだと思ってこのプロジェクトに挑んでいます。
努力すれば夢は叶えられるということを伝えて、自分の次にアーティストになりたい人たちに尊敬されるような存在になります!
【YURARI】
最初は、希望や不安等などいろ色んな気持ちがありましたが、今は“絶対に合格するんだ!”という気持ちが一番強くあります。
そして、a-genicが無かったら出会えてなかったであろう、最高で最強で大切な仲間たちに出会えて本当に良かったです!!
ファンの方には、何十年経っても記憶に残っているような存在でありたいです。
(写真左)
エイベックス・マネジメント株式会社
新人発掘・育成ユニット
ユニットリーダー兼ゼネラルプロデューサー 三上 雄亮
(写真中央)
エイベックス・エンタテインメント株式会社
レーベル事業本部
第6C&Rグループ
ゼネラルマネージャー 河田 淳一郎
(写真右)
エイベックス・マネジメント株式会社
第1マネジメントグループ
ゼネラルマネージャー 稲村 英将