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エイベックスにおける気候変動への取り組み
(TCFD提言に基づく情報開示)

当社は、これまでもエンタテインメントを提供する事業を通じて、様々なサステナビリティ活動を展開してまいりました。企業理念である「エンタテインメントの可能性に挑みつづける。人が持つ無限のクリエイティビティを信じ、多様な才能とともに世界に感動を届ける。そして、豊かな未来を創造する。」を踏まえ、エンタテインメント企業として「サステナブル(持続可能)な社会」の実現に向けて責任を果たすべく、2022年11月に、当社が優先して取り組むべき3つの主要テーマと7つの個別項目からなるマテリアリティ(重要課題)を特定し、サステナビリティポリシーとアクションプランを策定しました。
中でも、マテリアリティ“「次世代」を創る、届ける”の中では、「経済・社会・環境を調和するイノベーション」を主要テーマに掲げており、次世代が担う社会においても、エンタテインメントを楽しむことができるような環境づくりに貢献すべく、気候変動への取り組みも強化してまいります。

気候変動対策の取り組みの一環としては、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD*1)の最終報告書(TCFD提言)に賛同し、TCFD提言に基づく情報開示を行っております。
TCFDが推奨する4つの開示基礎項目である「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に基づく対応状況は以下のとおりです。
*1 Task Force on Climate-related Financial Disclosures

ガバナンス

今後の気候変動を含むサステナビリティに関する方針や意思決定の迅速化と監督機能の強化を図るため、組織体制の見直しを含むガバナンスの在り方についても継続的に検討してまいります。

原則として月1回開催しております取締役会では、重要な経営の意思決定・業務執行の監督等を行っております。気候変動に関わるリスクと機会への対応については、2022年7月1日に設立した専門部署「サステナビリティ推進室」にて関連する部署と情報を共有しながら対応し、重要な報告事項が発生した場合、取締役会へ報告し、モニタリングを実施します。

ガバナンス

戦略 (シナリオ分析)

当社グループは、2017年6月にTCFDが公表している最終報告書において、2℃以下シナリオを含む複数の温度帯のシナリオを選択・設定する必要があると提言していることから、気候変動に関する政府間パネル(IPCC*1)が発表した世界平均気温の変化の状況を確認し、気候変動がもたらすリスク・機会について、移行面で影響が顕在化する1.5℃シナリオと物理面での影響が顕在化する4℃シナリオの2つのシナリオを選択しました。
*1 Intergovernmental Panel on Climate Change

世界平均地上気温変化

(出典:IPCC第5次評価報告書 第1作業部会報告書 政策決定者向け要約 気象庁訳より、図SPM.7を転載)

気候変動に関する主なリスクと機会

移行リスク・機会:脱炭素シナリオ(1.5℃)

移行リスク・機会については、1.5℃目標達成に向けて、様々な規制などが導入される脱炭素シナリオに基づいて検討しました。1.5℃以下シナリオにおいては、政府の環境規制強化にともなう炭素税導入や、再生可能エネルギー需要の増加による価格上昇など費用の増加、電力消費量を削減するための設備投資の増加が想定されます。また、環境問題をはじめとしたサステナビリティ意識の高まりもあり、CD・DVDやグッズの簡易的な包装やチケットレス等のデジタルを活用したスマートライヴなどの取り組みを行い、今後も環境の持続可能性に配慮した活動を推進していきます。

気候変動リスク/機会の項目 世の中の変化 想定されるシナリオ リスク 機会 発生時期
移行リスク・機会 政策/規制 炭素税の上昇 炭素税の導入による、容器・包材等コスト増加 - 中・長期
各国のCO₂排出量削減の政策強化 電力制限により、イベント・ライヴ会場での機材使用規制 - 中・長期
市場・技術 低炭素(省エネ)、脱炭素、再生可能エネルギーへの移行が急進 CD・DVDやグッズに使用する素材に規制 - 中・長期
チケットレス等のデジタルを活用したスマートライヴ推進による費用の減少 - 中・長期
調達コストの増加 炭素税や環境規制対応によって、紙資源など原材料への価格転嫁が進み生産・調達コストが増加 - 中・長期
業界全体の環境対応要請の強化 CD・DVD等のデジタル化または簡易包装などの需要の増加による費用の減少 - 中・長期
評判 消費者の行動変化 サステナビリティ意識の高まりによるCD・DVD等の収入が減少する一方、デジタルコンテンツニーズの増加による収入の増加 中・長期
投資家の評判変化 気候変動をはじめとする環境への取組みの遅れによる投資家からの企業評価や信頼度の低下 - 中・長期

:影響がある、:高い、:非常に高い)

表を図で確認する>

物理的リスク・機会:温暖化進行シナリオ(4℃)

物理的リスク・機会では、異常気象による自然災害の発生にともなう、事業活動の停止やサプライチェーンの断絶が大きなリスクとなります。自然災害は発生の予測が難しく、一度発生すれば甚大な被害をもたらします。現在においても、温暖化の進行により、災害をもたらす大雨などの極端な気象現象の発生が増加していますが、温暖化進行シナリオでは、この傾向はさらに強まることが想定されます。当社では、商品の簡易的な包装やスマートライヴ等のデジタル化による環境の持続可能性に配慮した取り組みに加えて、全従業員が時間や場所にとらわれず、自律的に行動する働き方=FFF*1を導入し「スマートワークができるハイブリッド勤務制度」を実施し、オフィスを効率化することでCO₂排出量を削減しております。
*1 Free Address/Flex Time/Free Location

気候変動リスク/機会の項目 世の中の変化 想定されるシナリオ リスク 機会 発生時期
物理的な
リスク・機会
慢性 平均気温の上昇 地球温暖化によりイベント・ライヴ会場の熱中症リスクと空調にかかわる費用の増加 - 長期
降水・気象パターンの変化 主要事業所・拠点において、災害対策に関する設備投資コストの発生 - 長期
急性 異常気象の激甚化 生産・調達における操業停止・サプライチェーンの断絶が発生 - 長期
野外の会場でイベント・ライヴ開催が困難になり、それに伴う販売収益の減少 - 長期

:影響がある、:高い、:非常に高い)

表を図で確認する>

リスク管理

当社では、リスク管理について「リスク管理規程」に基づき、各部門がリスクに対応する取り組みを実施しています。気候変動関連のリスクに関しては、サステナビリティ推進室と関連する部署で情報を共有しながら管理を行い、重要リスクについては定期的に取締役会に報告します。

指標と目標

当社グループは、気候変動が社会の緊急課題であると認識し、省エネルギー化に取り組んでおります。2022年度の電力消費による間接CO₂排出量は754t-CO₂となり、本社ビルの移転等に伴い 2018年度より64%削減しております。このたび、持続可能な社会の実現に向けて、日本政府の表明しているCO₂排出削減目標を考慮し、CO₂排出量を2050年までに実質ゼロと目標設定いたしました。
CO₂排出量の削減にあたっては、オフィス内における省エネ、節電を心掛けるとともに、化石燃料を用いない再生可能エネルギーの導入や一般財団法人日本品質保証機構(JQA*1)が認証するグリーンエネルギー等を積極的に活用し脱炭素社会の実現を目指していきます。
*1 Japan Quality Assurance Organization

目標イメージ図

過去5年間のCO₂排出量

オフィスでは省エネ・節電に継続して取り組むとともに、ハイブリッド勤務制度により効率的なエネルギー使用の形を目指しています。
2022年度は、これら省エネ・節電の実施に加え、エネルギー利用の視点からオフィス配置をワンフロアにする等を行うことで、今後もエネルギー使用量の削減に努めていきます。

2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度(*2)
CO₂排出量
(t-CO₂)(*1)
2,112 2,106 1,936 1,990 754

*1 本社ビル及び当社所有のスタジオを対象としております。
*2 2022年3月1日に、エイベックスビルから住友不動産麻布十番ビルへ本社を移転しました。

表を図で確認する>

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