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高野洸が歌・ダンス・芝居で突き詰めたエンタテインメント 表現者としての歩みとこれから 高野洸が歌・ダンス・芝居で突き詰めたエンタテインメント 表現者としての歩みとこれから

ハイライト

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2021/3/24(水)、ソロアーティストとして初のアルバム『ENTER』をリリースした高野洸(たかのあきら)。幼少期にNHK教育のテレビ番組『天才てれびくんMAX』の音楽コーナーから誕生したDream5のメンバーとして芸能活動をスタート。2016年のグループ活動終了後は、俳優として2.5次元ミュージカルを中心に活躍。舞台で培った繊細な感情表現をベースに長らく磨き上げてきたダンスと歌のスキルを遺憾なく発揮した今回のアルバムは、現時点での彼の集大成であり、新たなフィールドでの活躍を予感させる作品となっている。単独では初となるライヴツアーも控えた3月初旬、エンタテインメントの世界で自身の在り方を模索してきた自身のキャリア変遷を振り返るとともに、活動の背景にある想いや今後のヴィジョンについて語ってもらった。

高野洸が歌・ダンス・芝居で突き詰めたエンタテインメント 表現者としての歩みとこれから

4歳でのキャリアスタート
就職との葛藤と
貫いたエンタメへの道

高野洸が歌・ダンス・芝居で突き詰めたエンタテインメント 表現者としての歩みとこれから

高野洸が自身のキャリアの礎となるダンスと出会ったのは、4歳の頃。たまたま足を運んだ地元のイベント広場でダンスパフォーマンスに釘付けになっている様子を見て、両親がダンススクールへの入会を勧めたことがきっかけだった。なお同じスクールには、ブレイクダンス世界大会で優勝し、現在は国際的チーム「Red Bull BC ONE All Stars」の一員として活躍するダンサー・Isseiも在籍。高野は当時を「最初はリズムに乗って身体を動かすことを楽しんでいたけれど、今思えばスクールはただの習いごとを超えた、仲間との切磋琢磨の中で自分を高めていける環境だった」と振り返る。

芸能界への扉が開いたのは2009年、小学校6年生のときのこと。当時放送されていたNHKの教育番組『天才てれびくんMAX』が開催したオーディション企画に応募、全国1,500通を超えるなかから映像・実技審査と勝ち進み、ダンス&ボーカルグループ・Dream5のメンバーに抜擢されたのだ。地方の小学生が、ある日突然お茶の間の人気者に━━。まるでマンガのような展開だが、本人は環境の変化をいたってマイペースに受け止めていたようだ。

「初めて飛行機で東京に行って、最終選考で今まで味わったことのない空気感に緊張したことは今でも覚えています。僕の地元ではテレビに出ること自体がすごく珍しいことだから、あっという間に噂が広まったし放送の翌日は学校でいじられました。そういうところで、『テレビに出るってこういうことなのか』と感じることはありましたけど、最初は本当に言われるがまま身体を動かしているような感覚でした。もとは1ヶ月限定の企画だったんですけど、活動が好評だったみたいで2枚目のCDも出させていただくことになって。それくらいの時期から、もしかしたらこれからも芸能活動が続いていくのかもしれないなって、ぼんやり考えるようになりました」

高野洸が歌・ダンス・芝居で突き詰めたエンタテインメント 表現者としての歩みとこれから

その後、エイベックス所属アーティストとなったDream5。以降、グループの活動はさらに本格化。リリースと並行して、先輩グループであるAAAのコンサートでオープニングアクトを務めるなど、第一線で活躍するプロフェッショナルたちとの共演やライヴイベントを重ねることで、より洗練されたアーティストへと進化を遂げていく。そのことに比例して、高野が地元・福岡と東京とを往復する頻度も高まっていった。その間、公立中学校へ進学。アーティストとしてのスケールと期待感が増していくなか、学校生活は楽しい息抜きの場だったという。

高校受験を控えた頃、いわゆる人生の岐路に立つ。今後も芸能活動を続けていくのか、それとも地元にあるゲーム会社への就職を目指して学業に専念するのか。どちらの選択にも希望を見出していたが、結果的に芸能コースのある高校へ進学。迷う背中を押したのは、地元で高野の活動をずっと見守ってきた友人からの「今の道を突き進んでほしい」という言葉だった。

「当時の自分は、芸能活動に対して特にストイックに取り組むわけでもなく、どこか成るように成ると思っているところがあったんです。高校進学をキッカケに将来を真剣に考えるようになって、『本当にこれからも芸能の道を歩いていくのか』を考えたとき、少し迷っている自分がいて。そのことを友人に話したら、『地元のみんなも本当に応援している。この歳で芸能生活を出来ているということはすごく貴重だし、今の道を突き進んでほしい』って。その言葉のおかげで、腹をくくることが出来ました。この先もしっかり芸能の道を歩いていく。人生を決めた瞬間でした」

“捨てた”はずのダンスと歌との再会
「2.5次元」でひらけた
新たなフィールド

高野洸が歌・ダンス・芝居で突き詰めたエンタテインメント 表現者としての歩みとこれから

2014年、Dream5はアニメ『妖怪ウォッチ』主題歌「ようかい体操第一」でブレイク。NHK紅白歌合戦や日本レコード大賞への出場も果たすが、2016年に惜しまれつつ活動終了を迎える。高校卒業のタイミングと重なったグループ活動終了を受け、今後について話し合うなかで高野はマネジメントサイドにひとつの覚悟を伝えている。「これまでやってきたダンスと歌を捨てて、俳優としてイチから挑戦したい」。それは、高野洸という才能が初めて個を主張した瞬間でもあった。

「Dream5が活動終了しても芸能活動を続けていくのか?という質問に対して、答えは当然イエス。だけど、今後はグループではなく個人で活動したい気持ちが強かったので、歌とダンスではなく俳優としてキャリアを積んでいきたいと決意していました。お芝居に興味を持ったのは、中学生のときに観た『家族ゲーム』というドラマ。すごく心を動かされて、そのときから『自分もいつか人の心を動かすような芝居をやってみたい』という気持ちが強くなっていたし、グループから離れたときに自分は一人でなにが出来るのかってずっと考えていて。なので、高校では必修科目と別に演技の授業を選択して、3年間芝居に打ち込んでいました」

ソロ活動のスタートを切った矢先で、高野は運命的な出会いに恵まれる。人気少年漫画『BLEACH』を原作とした舞台『ROCK MUSICAL BLEACH 〜もうひとつの地上〜』の主人公・黒崎一護役として声がかかったのだ。この作品に導かれた「2.5次元」という新しいフィールドで、高野は自身が“捨てた”はずのスキルと再び向き合うことになる。ダンスと歌があってこそ自分はひとりの表現者として表に立てるのではないのか━━。その気づきを確信に変えた作品、それがミュージカル『刀剣乱舞』だった。

「『刀剣乱舞』は、ミュージカルパートとライヴパートの2部構成になっているんですけど、僕自身、久しぶりのダンスはすごく楽しかったし、いつもサポートしてくれているマネージャーさんが感泣したというくらいライヴパートでのパフォーマンスを褒めてくださって。それまでの『ダンスも歌も捨てて、演技一本でやっていくんだ』っていう固定観念が逆に自分の可能性を狭めていたんじゃないかと気づかされた感覚がありました」

作り込まれた世界観やキャラクターの再現性が求められる2.5次元ミュージカルという分野は、俳優・高野洸の存在を示しただけでなく、演じるという行為についての深い思考とエンタテイメントに携わる者としての自覚をもたらした。

「2.5次元の舞台は、もともと原作が好きで観にきてくださる方が多いので、僕はいかに作品から出てきた感覚を味わってもらえるかということを強く意識しています。キャラクターと自分らしさを合わせて100なんだとしたら、自分らしさは10でいい。きっとこういう姿が見たいんじゃないかなって、そのキャラクターの持っている『人間らしさ』を極めたいなと思っています」

表現者として
“自分なりのエンタメ”を極める
高野洸が踏み出した次なるステップ

高野洸が歌・ダンス・芝居で突き詰めたエンタテインメント 表現者としての歩みとこれから

ダンス、歌、芝居。これまで培ってきたスキルのすべてを注いで、求められている姿を演じきる。そこで生まれた感動が、表現者としての成長を促していく。そのサイクルの中で、高野は自身のパフォーマンスを冷静に分析し、スキルを磨き表現の幅を広げてきた。

そして今年、彼はまた新しいフィールドへ向かって歩みを進めようとしている。2021/3/24(水)にリリースされる1stアルバム『ENTER』は、自身にとって最大の武器であるダンスと歌への原点回帰であり、現時点での自己を突き詰めた作品だ。

音楽活動スタートのキッカケと動機は、2018年に開催したファンミーティングだったという。舞台で演じるキャラクターではなく、等身大の自分に会いに来てくれるファンの方に向けて、なにかスペシャルなサプライズが出来ないか。そこで生まれたのが、1stシングル「LOVE STORY」に収録された自身初のソロ楽曲「Can't Keep it Cool」、「You've Broken My Heart」、「Our Happiness」だった。事前の告知は一切せず、当日会場で初披露。その時の熱狂は、ファンによってネット上に多数書き残されている。そして、脚本も演出もない、自分主体の濃密なクリエイティヴは大きな意味を持つものだった。

「最初はカバー曲という案もあったんです。だけど、ファンの方に本当に喜んでもらうためにはどうすればいいか考える中で、マネージャーさんから『オリジナルの曲を作るのはどうか』とアイデアをいただいて。特別な場で自分の曲を発表するというのは僕にとっても嬉しいことでしたし、曲のテーマを考えたり選曲したり、自ら創り上げることへの喜びとありがたさを実感した経験でした。実際、作っていただいた曲がすごく良くて、そのときは『さすがエイベックスだな……』と(笑)」

今後音楽活動していくうえで、表現者として自分なりのエンタメを極めていく必要性を感じているという高野。エイベックス所属のソロアーティストという肩書きはプレッシャーでありつつも、自身にとって現在の環境は最も成長出来る刺激にあふれたものだと話す。

「AAAさんをはじめ偉大な先輩方が身近にいて常に刺激をもらえる環境にいられることはありがたいです。お話しているときも『仲間』という意識を持って期待してくれている感じが伝わってきますし、それがすごく力になるというか。コロナ禍での自粛期間中、誰にも会えない状況で『自分1人ではステップアップできないんだ』ということも実感しましたし、人との出会いやそこから受ける刺激の大切さに改めて気付かされました。今後は、応援してくださる方や期待してくださる先輩方の気持ちにも応えつつ、ときに裏切りつつ、自分にしか出せない色を極めていきたいです」

今後の具体的な目標は?という質問に、役者としては長年の目標として掲げている朝ドラ(NHK連続テレビ小説)と大河ドラマへの出演、音楽活動ではソロアーティストとしての紅白歌合戦を迷うことなく答えた彼が最後にぽつりとこぼした「応援してくれているファンの方や地元のみんなに活躍することで恩返しをしていきたい」というひと言に、人間性を垣間見た気がした。幼少期から培ってきた揺るぎないスキルに自己を表現する欲求がかけ合わさったとき、「高野洸」はさらなる高みへ昇るのだろう。進化の予感が止まない彼から、目を離すことは難しそうだ。

高野洸が歌・ダンス・芝居で突き詰めたエンタテインメント 表現者としての歩みとこれから

高野洸

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