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2017年は全世界20ヵ国で開催され、のべ100万人以上を動員したモンスターフェスULTRA WORLDWIDE。その日本版であるULTRA JAPANは、大きな話題となった2014年の初上陸から4年、ダンス・ミュージックの日本最大級のイベントとして定着。都市型のダンス・ミュージック・フェスとしてシーンを牽引する存在となり、今年は5周年のアニバーサリーイヤーを迎える。エイベックスはULTRAをどのようにして日本に持ち込み、このフェスを通して何を日本にもたらそうとしたのか?

SNSを使ってバズらせるPRを
日本に持ち込んだフェス

「ULTRA JAPANのプロジェクトは実行委員会形式で運営されていますが、最近エイベックスには『ULTRA JAPANをやりたい!』と思うような若い子たちがどんどん入社してきているので、そういう人材が活躍できる舞台にしていくタイミングだと考え、新しいメンバーをどんどん起用していきたいと考えています」

ULTRA JAPANが始まるきっかけとして、エイベックスの中で、海外で盛り上がっているエンタテインメントを日本に持ってこようという動きがあった。

「その時にいくつか候補が挙がり、その中のひとつがULTRA でした。日本でやる2年前にはすでに韓国で開催されていて、エイベックスとしても1年ぐらい現地のスタッフと交渉をしていたところ、『実際に観に来てみなよ』という話になりました。そこから実際にマイアミのフェスを視察し、『これを日本で開催しよう』と決めたのがそもそもの始まりです」

日本での開催に向けて、まず念頭に置いたのは「ULTRA JAPANはSNSで広がるフェス」だということ。当時、日本ではまだそれほどSNSでの情報拡散が普及していなかった中で、その価値観を広めるのは時代の先をゆくチャレンジだった。

「例えばa-nationは『ヒールで行けるフェスをつくろう』というところから始まったのですが、そのような大義をULTRA JAPANにも求めました。それがSNSで広める、創られるという部分だったんです。なのでULTRA JAPANに関しては、各種広告のバイイングを一切行いませんでした。エンタテインメントのライヴ事業で一番大事なのは、チケットが売り切れること。チケットが手に入らない状況をつくることが、新たなフェスの立ち上げにおいて重要なプロモーションになる。それで言うと、ULTRA JAPANの第1回の時は開催の2ヵ月前にはチケットが完売という状況を作れたのが大きかったです」

都市部&生配信のフェスという
革新性がもたらしたもの

開催するにあたり、会場を見つけることが大きなハードルとなった。当初、エイベックスとしては幕張メッセや新木場公園、夢の島等さまざまな場所をプレゼンしたが、ULTRAの本体であるマイアミチーム的には全てNO。彼らに言われたのは、「終わった後に遊べないよね」ということだった。

「マイアミのULTRAは都市部のド真ん中で行っています。そういう彼らのマインドセットには大きな影響を受けました。ULTRA JAPANは都心部のお台場という場所を取れたことが成功の理由の99%といっても過言ではありません。“オシャレをして楽しめる都市型フェス”というコンセプトも大切にしていたので、従来のフェスのイメージである、首に巻くタオルやアウトドア用のファッションとは一線を画すイメージづくりも大切にしていました。これもお台場だからこそ実現できたことです。チケットが売り切れたことでのバズと土地の利点、それが成功に至った大きな要因です」

加えて、マイアミで産声を上げたULTRAが世界中でファンを獲得した大きな理由として、彼らの持つYouTubeチャンネルでイベントの模様を全世界に生配信したことが挙げられる。

「今までのコンサートは行った人しか見られないものでしたが、ULTRAは生配信することで圧倒的な世界観を世界中の人に見られる環境をつくった。それを見て『すごい! 観てみたい!』と感じた人がどんどん増えて大きくなっていったのがこのイベントであり、そういった試みを日本で初めてやったのがULTRA JAPANです。お客さんがGoProを使って撮影して、後日放送しているぐらいですから。ライヴを撮影していいというのは今では珍しくありませんが、その始まりとして、ULTRA JAPANがその後のライヴ・エンタテインメントに影響を与えたと思います」

そしてULTRA JAPANはエンタメ業界にだけではなく、
観るものにも大きな影響を与えた

「1年目のULTRA JAPANが終わった翌年、マイアミで行われるULTRA MUSIC FESTIVALには、今まででは考えられない人数の日本人が参加するという現象が起きました。そういった意味では、ULTRA JAPANを開催したことによって日本人が海外のエンタテインメントに目を向ける動機付けにはなったのかなと。協賛企業としてJALさんがついているのも、そういう部分でのメリットを感じていただいているからだと思います」

エイベックスの培った
ノウハウを生かし、
コアからマスまで届ける

ULTRA JAPANは今年、5周年のアニバーサリーイヤー。本家マイアミのULTRAも20周年の節目を迎える2018年は、今までにない盛り上がりが予想される。

「どんなエッセンスを足していくかはこれからですが、エイベックスとしては、ULTRA JAPANのことを知らない若者たちをたくさん呼ぶことを考えるタイミングに入っています。ULTRA JAPANは、開催1年目の頃にハタチになった人たち、つまり今24歳以上の人たちの認知度が高い状況にあります。その反面、その下の世代にはまだまだ届いていないのかなと。ULTRA JAPANはダンスミュージックのDJだけではなく様々なアーティストが出演するフェスです。昨年で言えばUnderworldや水曜日のカンパネラ等も出演しているフェスです。楽しみ方にしても、昼間からチルアウトして楽しんだり、ファッションを楽しんだり様々な要素があるのですが、それでも今の若い子からしたらクラブの延長線上として見られてしまっている部分もあると思うので、今年はより20代前半へ呼びかけていきたい。ULTRAは感受性が豊かな時期に体験したら、その後の人生が変わるイベントだと自負しています」

このイベントの考え方は、「ULTRA JAPANは音好きの人のために持ってきたイベントではない」ということ。「もっと世界を見てみたい!」「自分を変えてみたい!」、そう思うきっかけになるイベントが、ULTRA JAPANなのだ。

それと同時に、ULTRA JAPANは“エイベックスが何をするために生まれ、何によって大きくなった会社”なのか、という部分がイベントをやるにあたっても核となっている。

「エイベックスは元々、ユーロビートをヨーロッパから持ってきて、ダンスミュージックで生業を立てた会社です。エイベックスは今年30周年を迎えるのですが、25年目のタイミングでULTRAのライセンスを獲得しました。そこには、『もう一度ダンスミュージックで日本を元気にしたい』という想いも込められています。同時に、エイベックスはダンスミュージックを基軸にポップスまで広げていったバランス感覚が強みです。ULTRA JAPANはダンスミュージックのコアな良さを失わずにマスにも届けるという点において、エイベックスがこれまで培ってきたノウハウが活きています」

今の時代は年上から遊びを教えられるという経験が減り、メディアで流される話を鵜呑みにしがちな時代だ。ただし、一度でもULTRA JAPANの開放感と熱狂を体験したら、液晶画面に写る情報と現場で自分の目で見た情報の圧倒的な違いを理解できるだろう。そういう意味でもULTRA JAPANのようなフェスが “カルチャー”として日本にしっかり定着することで、若者たちにもたらす影響は計り知れない。そこにエイベックスとしてこのイベントを開催することへの大義があり、それと同時に、“カルチャー・メーカー”としての覚悟を感じるのだった。

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