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5/22(火)にグループ史上最大キャパとなる、12,000人を動員した横浜アリーナでのワンマンライヴBiSH“TO THE END”を成功させたBiSH。今回は同ライヴ後のWACK代表の渡辺淳之介、エイベックス・エンタテインメント株式会社 赤窄 諒、メンバーからの事後コメントで、今後の展望を模索。また、横アリ即日ソールドアウトの戦略や、デビュー当時からのキャッチフレーズ等を振り返り、BiSHの快進撃を改めて読み解く。

横アリワンマンを駆け抜けた、
メンバーの心境

横浜アリーナ公演を終えての赤窄の感想は「BiSHは本当に節目のライヴや大舞台に強い」ということ。ライヴ前、「僕らができるのは会場を満員にすることまでで、そこからはメンバーの仕事」と話していた彼の言葉通り、さらにファンが増えるかどうかはライヴの出来次第。その期待を優に乗り越えてきたということだ。

また、横アリでのライヴ中に次回の全国ホールツアーが発表されたが、渡辺はこのチョイスを「より一般層が見やすいシチュエーションを意識している」としている。

メンバーの意見として代弁しているのは、セントチヒロ・チッチの「ホールでも小さいライヴハウスでも、変わらないBiSHでいられたらいいなと思っています。これからは今以上にバンドが好きな人やアイドルが好きな人、ポップスが好きな人等いろんな人がそれぞれの楽しみ方で共存できるジャンルを超えた存在になれたら」と、横アリ前のコメント同様、ブレないスタンスを表明している。

また、メンバーのキャラクターがわかるエピソードとして、「アイナ・ジ・エンドがメンバー一人ひとりに手紙をくれた。楽屋を出る直前にくれたので、読んでしまい、涙をこらえながらステージに向かった」と、リンリンが明かしてくれた。思えばアイナ・ジ・エンドはライヴ終盤のMCでも清掃員に向けて「楽しんでくれましたか? 聴きたい曲は聴けましたか?」と、プロとしての矜持と包容力が自ずとにじみ出ていた。また、アユニ・Dはライヴ後「弱っちい自分をあるがままに晒け出すのを終わり、これからはかっこいい姿を見せなければならないなと」という、率直な感想を寄せてくれた。

「楽器を持たないパンクバンド」の
戦略と
体験至上主義

横浜アリーナライヴ当日、フェンダーとBiSHのコラボレーションモデルのギター「Fender televcaster Thinline“BiSH”」が、ポップカルチャーのニュースサイト【ナタリー】のナタリーストアで受注販売がスタート。「楽器を持たないパンクバンド」が世界的ギターメーカーとコラボすること自体、痛快だが、製品自体はBiSH楽曲を手がける松隈ケンタ(SCRAMBLES)がシリアスにプロデュースした名品だ。

こうした異例のコラボに発展したのも、スタイルとして楽器を持ったパンクバンド以上にスタンスがパンクバンドなBiSHならではと言えるだろう。そもそもメジャーデビューを機に、キャッチコピーを渡辺が発案。当初「新生クソアイドル」というものだったが、「楽器を持たないパンクバンド」に改めたことにさほど戦略的な意味はなかったのだという。

「『なんだそれ?』みたいに言われるんですけど、『まぁまぁ楽器を持たないパンクバンドなんですよね』って言い続けることで意味が生まれてくる。名は体を表す、じゃないけど、そんな気持ちになってくる」(渡辺)

プロモーションの手法に関しては、インディーズ時代の最初のシングルから予算をしっかりかけて良いものを作ってきたという。

「やはり最初は色物的なイメージが強かったと思うので、そこをアーティスト性に転化していくために、ちゃんとお金かけるときはお金かけよう、と。何より楽曲の良さをちゃんと伝えていくことには意識的でしたね」(赤窄)

辛い目に遭った過去や、どちらかと言えば元々が陰キャ(陰気もしくは根が暗い性格の人)な6人を映し出した楽曲はリアル。だが、その完成度はバンド好きを始め、様々なリスナーに届いている。また毎回、シングルのMVは意表をつく内容や、スケールの大きなロケーション(例えば「My landscape」のロケ地はアメリカ・カリフォルニア州の「飛行機の墓場」と呼ばれるモハーヴェ砂漠)等、破格のクオリティを誇っている。そうしてアーティスト・イメージを担保しているのもBiSHが前例のない存在感を生み出す理由の一つだ。

また、ライヴの生配信について、渡辺も赤窄も会場でのリアルな体験至上主義。

「配信で満足しちゃう人も多いからこそ、大事なライヴはその場の体験をして欲しいんです」(渡辺)

「その場で見れなかった人に対してはちゃんとフォローしていかないとは思っていて、毎回、ライヴが終わった次の日に編集してすぐYouTubeにアップするとか、頑張ってはいるんです。動画を見てもらうとわかると思うんですが、急いではいますが毎回カッコよく作っているつもりです。ぶっちゃけ生配信を見せるより、即動画を作って見せていく方が効果的なんじゃないかと思うので」(赤窄)

今回もライヴから2日後の5/24(木)に、“HiDE the BLUE”のライヴ映像が公開。このライヴで初披露されたこと、今のBiSHへの幅広い層からの興味もあり、1週間を待たずに29万回再生をマークした。今後どんな施策でバズを起こすか、こちらも注目したい。

ロックフェスにも出演。
存在感増すBiSHのこれから

今回の横浜アリーナ公演の告知方法も最大の効果を生む手法をとった。昨年12/1(金)に「ミュージックステーション」へ初出演した際に情報解禁。

「スポットで情報解禁して、今までのBiSHのストーリーを感じるエモーショナルな映像を流したら面白いんじゃないかと話して。会社に30秒のCMの枠をもらって、そこで流せたのが一番大きかったんだと思いますね」(赤窄)

まるでBiSHが登場した番組に連なるような映像だったことも功を奏して、テレビの視聴者に響き、一気に横浜アリーナソールドアウトという結果につなげたわけだ。社内の機運も高い証左だろう。

また、今夏はROCK IN JAPAN、SUMMER SONIC、RISING SUN ROCK FESTIVAL、WILD BUNCH、MONSTER baSH等、本格的なロックフェスに軒並み出演が決定。すでに春フェスでも存在感を表しているが、並み居るロックバンドのオーディエンスにBiSHがどう迎え入れられるのか? が一つのターニングポイントになりそうな予感。

「ターゲット層はロック層だと思ってたりもするので、そこのお客さんに初めてプレゼンテーションできるかなと。ライヴはいつもそうですが、メンバーにいいうたを歌ってもらって、いいパフォーマンスをしてもらう。今年はすごい数のブッキングのお話をいただいたので、僕らとしてはいい機会だと考えてますね」(赤窄)

夏フェスでロックファンへの訴求を行い、10月からはホールツアーで、ライヴハウスやフェスに足を運ぶ層以外への訴求も図ろうとしている今。

「どうしても今の時代の流れで言うと、止まってしまうと終わってしまう危険性は高いので。慢心したくないと言うか、要求されるものはさらに大きくなっていくと思っています」(渡辺)

ロックやヒップホップのみならず、ジャンルが多様化し、むしろジャンルより表現されているものの核心に心を震わせるリスナーが多くなっている今。少なくとも一般的なポップ・ミュージックのリスナーはそうだろう。その中で「楽器を持たないパンクバンド」BiSHの存在感がどこまで大きなものになるのだろうか?

(写真左後)株式会社WACK
代表取締役
渡辺 淳之介

(写真右後)エイベックス・エンタテインメント株式会社
レーベル事業本部 クリエイティヴグループ
クリエイティヴ第2ユニット
赤窄 諒

(写真左前から)
モモコグミカンパニー / アユニ・D / セントチヒロ・チッチ /
アイナ・ジ・エンド / ハシヤスメ・アツコ / リンリン

こんな内容

関連リンク

BiSH オフィシャルサイト
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