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『D.LEAGUE』が変革するダンサーの価値 RIEHATA×エイベックスが生む化学反応 『D.LEAGUE』が変革するダンサーの価値 RIEHATA×エイベックスが生む化学反応

ハイライト

ONOFF

2020年8月に世界初・日本発のプロダンスリーグ『D.LEAGUE』が発足し、2021/1/10(日)にとうとう開幕を迎えた。このエポックメイキングな大会にエイベックスもチームオーナーとして参画し、そのチーム名は「avex ROYALBRATS」。そしてタッグを組んだのが、TWICEやBTS、クリス・ブラウンといった世界的アーティストから数々のオファーを受ける世界的ダンサー・コレオグラファーであり、Instagramのフォロワー数が44.4万人(2021年1月時点)というダンス界のカリスマ・RIEHATA、そして彼女がプロデュースするチーム「RIEHATATOKYO(以下、RHT)」だ。

今回はRIEHATA、そしてRHTのメンバーからKAITA、Rena、SHOTA AKOの3人を招き、さらにエイベックス・マネジメント株式会社でアーティストアカデミーのゼネラルマネージャーを務める鎌田博を加え、『D.LEAGUE』と日本のダンス界に懸ける想い、そしてその裏にある戦略と化学反応を探った。

“ブランディング”と“使命感”
エイベックスが
『D.LEAGUE』に参画する意義

『D.LEAGUE』が変革するダンサーの価値 RIEHATA×エイベックスが生む化学反応

2021年1月10日(日)、東京・有明アリーナで開幕を迎えた世界初・日本発のプロダンスリーグ『D.LEAGUE』。開幕戦のROUND1(およびROUND2)は、新型コロナウイルス感染予防の観点から無観客での開催というイレギュラーな事態に。しかし、6つのプラットフォームで生配信&CSで生放送されたことにより、有観客のみの開催以上に『D.LEAGUE』が注目を浴びる結果に。そして開幕戦の熱と盛り上がりを目にした視聴者の多くが、実際に会場に足を運びたいと思ったことだろう。

『D.LEAGUE』は全12ラウンドを計9チームで争うレギュラーシーズンと、上位4チームによるチャンピオンシップで構成され、6月末には初代チャンピオンが決定。世界的に活躍する4人のパフォーマーの審査員ジャッジと、アプリ会員によるオーディエンスジャッジの合計得点で順位が争われる。

そしてチームオーナーにはエイベックス、KADOKAWA、コーセー、サイバーエージェント、セガサミーホールディングス、セプテーニ・ホールディングス、フルキャストホールディングス、ベネフィット・ワン、USEN-NEXT HOLDINGSという業種が多岐にわたる全9社が参画。さらに有名ダンサーが各チームのディレクターに就任し、それぞれのスタイルで半年間にわたるシーズンを戦っていく。

まずは今回のインタビューを進めるにあたって、エイベックスが『D.LEAGUE』に参画する意義について鎌田に伺うと、大きく分けて“ブランディング”と“使命感”という2つの側面があるという。

鎌田「まず1つは、企業のブランディングです。2012年から学校教育でダンスが必修科目になって、ダンスが学校でも注目を浴びるようになり、オシャレなKIDSダンサーはファッション・リーダー的な存在に。また、高校のダンス部も瞬く間に人数が増加し、野球部やサッカー部を越える時代になってきました。その時代の流れを踏まえて、『D.LEAGUE』をエイベックスの新しいブランディングの1つとして確立させること、そしてビジネスとしても成立させ、私たちと関わっていただいているダンサーや受講生に夢や希望を感じてもらえるようにしていきたい。2つ目は極端な話、『D.LEAGUE』にエイベックスが参加しなかったらおかしいぐらいの気持ちの“使命感”が正直ありました。あれだけLDHさんがダンス界や『D.LEAGUE』の盛り上げ役を担っていることも含め、じゃあほかにエンタメ系でダンスに精通しているプロダクションやレーベルといえばという話で。『ダンス業界を盛り上げていこう!』と日本を一致団結させる側に本来いるべきであるエイベックスがそっぽを向いているわけにはいきません」

『D.LEAGUE』が変革するダンサーの価値 RIEHATA×エイベックスが生む化学反応

そしてそのエイベックスが『D.LEAGUE』を戦うためにタッグを組んだのが、世界的ダンサー・コレオグラファーのRIEHATA。中学卒業後の2004年に単身LAへダンス留学し、ダンスの本場でさまざまな偏見や固定観点を覆しながら自らのスタイルを確立。その後は数々の有名アーティストとコラボレーションを果たし、その圧倒的なキャリアとダンスのスタイルから“QUEEN OF SWAG”と称されている。

鎌田「RIEHATAとエイベックスがタッグを組むことでどんな化学反応が起きるのかを試したかった、というのがオファーをした一番の理由です。ダンス界におけるRIEHATAという存在は、いろいろなジャンルで活躍するトップ・ダンサーが大勢いる中でも別格ですね。『D.LEAGUE』という世界初のプロダンスリーグへ臨むにあたって、今までにない取り組みをしたくてRIEHATAと組むことを決めました」

さらに、そのタッグの化学反応を『D.LEAGUE』で具現化するチームに選ばれたのは、RIEHATAが長きにわたって育て上げ、苦楽を共にしてきた自らのチーム・RHT。RIEHATAは『D.LEAGUE』の存在を知ったときのことを振り返りながら、自身のチームで参戦することを決めた理由をこう語った。

RIEHATA「『D.LEAGUE』の話を最初に聞いたのは一昨年の年末ぐらいで、このプロジェクトを企画しているカリスマカンタローさんから直接連絡が来ました。カンタローさんから『一生に一度しかないチャレンジをする』っていうことを聞いて、規模の大きさやハードルの高さは感じましたね。そのあとに、『D.LEAGUE』に参加するならRHTとしかないと思ったので、『私が出たいからどう思う?』とかではなくて、私は出るも出ないも意見は決めずに、メンバー1人ひとりと意見交換をしました」

『D.LEAGUE』が変革するダンサーの価値 RIEHATA×エイベックスが生む化学反応

Rena「野球とかサッカーと同じ類でプロのダンスリーグができるって聞いたときは純粋にびっくりしましたし、ダンスもようやくその段階に来たんだなと思いました」

KAITA「どうなるかまったく未知だったので、最初に聞いたときは驚きの方が大きかったです。ただワクワクというか、自分がこの先どうなっていくのかを想像して夢が膨らんだ瞬間でしたね」

SHOTA AKO「まさか自分がプロダンサーとして大会に出られると思ってなかったですし、チームに入ったのも約3年前と最後だったのでプレッシャーはありましたが、大きな大会へ出ることで成長できる楽しみと、挑戦したい気持ちの方が強くありました」

コロナ禍で180度変わった視点
avex ROYALBRATSが目指す
圧倒的なクリエイション

『D.LEAGUE』が変革するダンサーの価値 RIEHATA×エイベックスが生む化学反応

ただし、すんなりRHTで『D.LEAGUE』に参戦することが決まったわけではなく、RIEHATAは自身のチームのブランディングとメンバーの未来を考える上での葛藤があった。

RIEHATA「私はRHTの活動拠点を日本にすることはまったく考えてなかった。元々はみんながキッズの頃に世界大会に挑戦して、日本をレペゼンするって意味でチーム名に“TOKYO”を入れたんです。RHTはグローバルな活動をしてきたので、日本で大会に出るっていう目標もなかったし、欲もなかった」

そのRIEHATAの考え方に変化をもたらすきっかけとなったのが、くしくも新型コロナウイルスだった。

RIEHATA「コロナ禍で考え方が180度変わりましたね。コロナの影響でダンスを辞めざるをえない人や、先生やバックダンサーの仕事がなくなってしまった人が出てきた。世の中にはそういう人がいることを現実的に考えて、どうしたら日本のダンサーたちに希望を与えられるのか、RHTとして何をしたら業界を盛り上げられるのか、そういうところに視点を置いて考えるようになったんです。それをRHTのメンバーのみんなにもシェアして、最終的に世界を拠点といっても日本をレペゼンするチームなので、日本のトップという証を残すためにも出ようという結論に至りました」

そしてエイベックスとタッグを組むことは、RIEHATAからの提案だったという。そしてその裏にある感情を説明するのに、RIEHATAは「ダンサーに戻るのは嫌」という独特の表現を使った。

RIEHATA「当初は『D.LEAGUE』に参加することで、RHTの活動がダンサーに戻るのは嫌だなと思っていたんです。RHTは大会などでダンスして戦うような活動を今まではしてこなかったから。でもエイベックスさんと手を組めば、みんなのアーティスト性や存在感、知名度、特技などをすべて咲かせながら『D.LEAGUE』の長期戦を共に歩んでいけると思ったんです」

そうして共に歩むチームに付けられた名が、avex ROYALBRATS。RHTの頭文字を引用しつつKINGやQUEENたちがいるチームを連想させる"ROYAL"に、RHTの武器であるSWAGさやヤンチャさを象徴する"BRATS"を採用。その"BRATS"は、エイベックス・エンタテインメントのデザインチームからの提案だったという。それらを組み合わせた「血統書付きの悪ガキ」「ハイスキルな新世代」を意味するavex ROYALBRATSは、こうして『D.LEAGUE』という大舞台へと一歩目を踏み出した。

『D.LEAGUE』が変革するダンサーの価値 RIEHATA×エイベックスが生む化学反応

加えて開幕前に、RIEHATAは圧倒的なクリエイションを発揮。それがavex ROYALBRATSにとって最高の発射装置となり、『D.LEAGUE』本番へ向けて加速していった。

RIEHATA「準備の部分で開幕前から私たちの『D.LEAGUE』は始まっていて、まず戦略の部分で私とメンバー1人ひとりが踊るMVを制作しました。『D.LEAGUE』はレギュラーシーズンで12試合あり、踊るみんなにとっては引き出しがどんどんなくなるし、私としても1人ひとりの個性をもっと見せたかった。それに観ているオーディエンスが飽きると思ったんです。あとMVを作ったもうひとつの目的は、メンバーの夢の部分。彼らはキッズの頃から『RIEさんとふたりで踊りたい』『自分がメインの作品をつくりたい』と言ってたんです。私もいつかそんなことがあったらと思っていたけど、それって今だなと。このMV制作のプロセスはエイベックスの皆さんも大変だったと思いますが、そこで私のスタイルを理解してもらえたし、開幕前にもっと団結できたと思います」

鎌田「僕も初めての経験でしたね。RIEHATAが『D.LEAGUE』本番用のネタも考えながら、それとは別に11本のMVを3ヵ月ですべて作ってしまった。そのこだわりとスピード感、頭の中の整理の仕方はすさまじかったですし、世界トップレベルをまざまざと見せつけられましたね。僕らはRIEHATAの理想的な形をサポートするのに精一杯でしたが、あのMVを作ったことで、avex ROYALBRATSは開幕前に一歩も二歩もリードすることになるんです」

MVと重なる部分で鎌田は、『D.LEAGUE』でダンス界の課題を圧倒的に変えようと目論んでいる。それは、楽曲。『D.LEAGUE』では楽曲をオリジナルで制作し、その楽曲でのパフォーマンスの翌日には配信。さらに、楽曲が広まることで得られる収益をダンサーにも分配していく試みにチャレンジする。

鎌田「オリジナルの楽曲で踊るダンサーがカッコよくてメディアに出て世の中に広がっていくと、『アーティストが歌う曲』としての広がりではなく、『ダンサーが踊る曲』がカッコいいからリスナーがそれを調べて聴くようになる。まさにTikTokと一緒で、作曲家を知らなくても曲がひとり歩きして売れていく仕組みを『D.LEAGUE』はつくろうとしていて、この仕組みが浸透していったら、ダンサーがエンタテインメントのメインになるためのピースがまたひとつハマると考えています」

結実した想いと戦略
オーディエンスの共感と支持

『D.LEAGUE』が変革するダンサーの価値 RIEHATA×エイベックスが生む化学反応

迎えた1月10日の開幕戦。『D.LEAGUE』に注目していたダンス・ファンの中には、ステージに登場したavex ROYALBRATSの衣装やダンスに既視感を覚えた人も多かっただろう。それもそのはず、今回のステージはメンバーのSHOTA AKOを主役に制作したMV「#1【BOYS WILL BE BOYS】SHOTA feat. RIEHATA」のストーリーの続きをステージ上で表現したのだ。

RIEHATA「ROUND.1はSHOTA AKOがメインで、ライトフィートというジャンルのボーイッシュなダンスで臨みました。意識したわけではないけど、見えない絆というか心がひとつになっている感じが伝わったのか、たくさんの人から『感動した!』って言われましたね。あとはみんなで楽屋に戻ったときに、『MVを作って本当に良かったね!』って話しました。その努力が報われた瞬間の達成感は、私の中で過去イチだったかも。ほかのディレクターやカンタローさんも開幕前にああいう作品をつくっていたことにビックリしていて、その反応を見て頑張った苦労が吹っ飛びました」

SHOTA AKO「ハットトリックっていう帽子を使った技がリハでは成功していたんですが、本番はプレッシャーを感じて失敗してしまった。ステージ降りてからはもう泣きそうで。ただメンバーのみんなやファン方の声を聞いたらそれだけがすべてじゃないと思えたし、気持ちは伝わったのかなって」

画面越しでもメンバーの充実ぶりは伝わってきたが、審査員のジャッジでavex ROYALBRATSはまさかの最下位に。しかし、オーディエンスジャッジで1位という事実が積み上げてきた想いと、開幕前の戦略が間違っていなかったことを証明する。最終的にavex ROYALBRATSは第4位で開幕戦を終えた。

鎌田「一番感じたのは、オーディエンス票があそこまで反映される大会は見たことがないということ。だからこそファンが自分のことのように感情移入して応援できる大会だなと感じました。それと試合に向けた作品づくりだけでなく、普段からファンをつくっていく活動の違いが明確に出る形になりそうですね。その意味でRIEHATATOKYOは10年近く一緒にいるチームですし、そのファンはエイベックスとのタッグでさらに飛躍することに期待している。ただし、我々がavex ROYALBRATSメンバーの知名度アップや活動の飛躍に直接的なドライブを掛けられているかというとまだまだ。僕たちがさまざまな面において掛け算をすることで、この先さらに圧倒的な存在になれるかどうかだと思います」

さらにRIEHATAにとって順位という結果以上に求めていることがあり、それについて彼女が吐露した言葉は、日本におけるダンサーの未来へ繋がる重要な提言として耳を傾けてほしい。

RIEHATA「単純に私は『主役になった子をもっと知ってほしい』とか、『こんなに個性がバラバラでも良いチームになる』っていうことを伝えたかった。ダンスにカリキュラムやメソッドはあるけど、私は自分のダンスを押し付けたくないし、その人のダンスはその人にしかできない。『こんなに個性を尊重してもカッコいいチームを作れるよ』っていうのをavex ROYALBRATSで見せていきたいし、メンバーそれぞれの夢があるので、それを叶えさせてあげたいっていうのが私にとっての一番。その上で『D.LEAGUE』を通して、『日本人のダンサーってすごいんだよ』とか、『日本でイケてるダンスの大会をやってるんだよ』っていうのを世界に発信する架け橋になりたいと思ってます」

『D.LEAGUE』が変革するダンサーの価値 RIEHATA×エイベックスが生む化学反応

最後にインタビューから記事公開までの間に、ROUND.2&3の結果が出ているのでぜひ紹介したい。avex ROYALBRATSはROUND.2でMV「#2【A LITTLE KID'S DREAM】Ako feat.RIEHATA」をテーマに臨み、審査員ジャッジは開幕戦より大幅に順位を上げて3位、オーディエンスジャッジでは前回同様の1位、それも満点を獲得して逆転勝利を果たす。そして勢いに乗って迎えたROUND.3(テーマはMV「#3【REFLECTION】ReiNa feat.RIEHATA」)は、審査員ジャッジとオーディエンスジャッジのどちらも1位という完全勝利。その結果、ROUND.3の時点で総合ランキングでも1位に上り詰めた。

早くもRIEHATAとエイベックスの化学反応が結実。ただし、これはまだ序章に過ぎないのだろう。avex ROYALBRATSのROUND.3までの勢いを踏まえても、現時点で最終的な順位を予想することは難しい。それでも断言できるのは、シーズンがすべて終わった6月末、avex ROYALBRATSはどのチームにも負けない共感と支持を得て次のステップに歩を進めているということだ。

『D.LEAGUE』が変革するダンサーの価値 RIEHATA×エイベックスが生む化学反応

(左から)
Rena 、KAITA、RIEHATA、SHOTA AKO

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avex ROYALBRATS | D.LEAGUE(Dリーグ)
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