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エイベックス・ノウハウでバーチャルの可能性を追求。 『AVALON』から生まれる新スター エイベックス・ノウハウでバーチャルの可能性を追求。 『AVALON』から生まれる新スター

ハイライト

ONOFF

近年はインターネット上のみならず、様々な場所に活躍の場を広げている、VTuberを筆頭にしたバーチャルタレント/バーチャルアーティストたち。これまでも様々なバーチャルアーティストを送り出してきたエイベックスが、バーチャルアーティストプロダクション『AVALON』を設立した。

この『AVALON』には、2018年よりエイベックスのバーチャルタレント事業を引っ張ってきた4人組ダンス&ボーカルグループ、まりなす(仮)や、言霊少女プロジェクト、LiLYPSEらが所属。また、事務所設立と同時に新規バーチャルアイドルオーディション「ReVorn」がスタートし、現在最終候補者10名による最終オーディションが行なわれている。

これまで様々なバーチャルアーティストを送り出してきたエイベックスが、このタイミングでプロダクションを設立したのはなぜなのか。まりなす(仮)などを手掛けてきた原佳祐に話を聞いた。

エイベックス・ノウハウでバーチャルの可能性を追求。『AVALON』から生まれる新スター

蓄積されたノウハウと
スキルが生んだ
バーチャルオンラインフェス
の“ライヴ感”

エイベックス・ノウハウでバーチャルの可能性を追求。『AVALON』から生まれる新スター

「僕がバーチャル事業の準備をはじめたのは3年ほど前ですが、そのときから『最終的にはプロダクションをつくりたい』と決めていて、タイミングはいつがいいかと、ずっと考えていたんです。当時はまだバーチャルYouTuberという言葉すらなく、キズナアイさんやシロさんが活動をはじめたくらいの頃だったので、今のような組織化された『箱」中心になっていくとはあまり考えていませんでしたが、エイベックス自体がプロダクションだと思っていたので、将来的にはバーチャルで音楽プロダクション立ち上げるぞ、と。そこからまりなす(仮)をプロデュースし、バーチャル界の荒波にもまれながら機をうかがい、今回、僕らが主催したオンラインライヴフェス『Life Like a Live !』の開催に合わせて、設立を決めました」

エイベックス・ノウハウでバーチャルの可能性を追求。『AVALON』から生まれる新スター

今回の『AVALON』の設立には、これまでのバーチャルアーティスト事業で蓄積してきたノウハウが生かされている。たとえば、キレキレのダンスと歌唱力によってダンス&ボーカルグループ的な人気を得ているまりなす(仮)のパフォーマンスは、エイベックスグループならではの高いスキルに加えて、激しい動きにも対応できるモーションキャプチャー技術があって実現できるもの。これまでのバーチャルアーティストのプロデュース経験の中で生まれた知見が、自社の光学式モーションキャプチャースタジオに生かされているのだ。

「まりなす(仮)で2年ほど活動を続けてきた中で、僕らは『バーチャルタレントの活動としてはやっていないことはほとんどないのでは?』と思えるくらい、色々な経験をしました。自社での活動以外にも、色んなイベントに出演させていただき、そのたびに色んな環境を体験していたので、その蓄積もあって、専用の光学式モーションキャプチャースタジオも、『どういうものがいいのか?』ということを考えることができたと思います。 うちのスタジオのシステムは、即時性、リアルタイム性、汎用性を重視した構成になっています。自社タレントはもちろん、ゲストさんたちをお招きしやすい、という形になっています。一例ですが、まりなす(仮)の『POLYFULL!』のMVでは、100人以上のVtuberさんたちに同時に踊ってもらいました(笑)。そのシステムの一つの完成形が、『Life Like a Live!』で初実装した『AVALON』独自のリアルタイムライヴシステムなのですが、そちらは、演出も、カメラワークも、アクションも、全部をリアルタイムにしたことで、“ライヴ感”がひとつ抜けたと思っていて。『Life Like a Live !』は、バーチャルオンラインライヴの中でも、ライヴ感の高いイベントになったのではないかと思っています」

これまでそれぞれに活動してきたアーティストたちがプロダクションに集結すると、お互いの交流や刺激が生まれ、ひとつひとつの点だったそれぞれの活動が、線や円になる。そこに外部のコラボレイターたちも加われば、なおさらだ。実際、9月19日から22日まで開催された『Life Like a Live !』では、まりなす(仮)に加えて、先日エイベックスからのメジャーデビューを発表したスクウェア・エニックスとディアステージのアイドルプロジェクト・GEMS COMPANY、そしてPalette Project、えのぐ、ReVdol!といったレーベルの垣根を超えた様々なメンバーが集結。この日のために用意されたイベントのオリジナルテーマ曲『Life Like a Live !』の全員歌唱を含む様々な演出や、ステージの周りを360°ぐるりと回ったり、メンバーの間を縫っていくような臨場感たっぷりのカメラワークなどで、史上初のバーチャルアイドルの祭典として成功を収めた。

エイベックス・ノウハウでバーチャルの可能性を追求。『AVALON』から生まれる新スター エイベックス・ノウハウでバーチャルの可能性を追求。『AVALON』から生まれる新スター

「“ライヴ感”という意味では、実際にお客さんが目の前にいるリアルライヴの方が表現しやすく、オンラインライヴでは、平面の中でライヴ感を出さなければいけません。そこで今回は、画面を観ていてもライヴ感が感じられるよう工夫しました。また、本当にフェスに来たように感じてほしかったので、メインステージでライヴをやっていない時間帯も、オンラインの他の場所で様々なコンテンツが楽しめて、リアルのイベントとも遜色ないような、でもリアルの代替ではない、『オンラインイベントならではの楽しさ』を目指しました。ライヴ自体の映像の生っぽさは、リアルのアーティストのライヴのように、演出、カメラ、アーティストがそれぞれガチンコで向き合って一期一会の絵を撮ることによって生み出していました。バーチャルは良くも悪くも作りこめてしまう分、今回のライヴは1発勝負ならではの粗さが生感、ライヴ感を加速させていたのかなと思います。余談ですが、寄り気味のカメラは、実は僕が回していたんです(笑)。『Life Like a Live !』は僕にとっての集大成のようなイベントで、僕が3年間で培った全てを注ぎ込んで、それに賛同してくださった皆様にめちゃくちゃ協力していただいて、みんなで一緒に作った最高のイベントでした。裏でAVALONのスタッフは屍になっていましたが……(笑)」

誰かの「変わりたい」を
バーチャル技術で叶える
オーディション
『ReVorn』への熱意

エイベックス・ノウハウでバーチャルの可能性を追求。『AVALON』から生まれる新スター

その22日のバックステージ&企画ステージでは、『AVALON』による大型バーチャルアイドルオーディション第一回『ReVorn』の最終オーディションに残った10名が発表。このオーディションは性別、外見、年齢、経歴といったリアルでの条件を一切考慮しない、バーチャルな活動ならではの条件で行なわれている。また、もうひとつの特徴は、「バーチャルアイドル」に特化したものであることだ。

「『アーティストを募集します』と言うと、歌や作曲など『自分はこれができる』という人たちが集まりやすいですが、僕らは『何かになりたい』『生まれ変わりたい』という、願望や熱量を持った方に来てほしいと思っていました。結果としてたくさん応募をいただき、女性だけでなく、男性や高齢の方もいらっしゃいましたし、熱量あるメッセージをたくさんいただいて。この人たちとちゃんと向き合おう、と改めて気が引き締まりました。今回、この文化に触れたことがない、他のVTuberのオーディションを受けたことのない多くの方が応募してくれたことも嬉しかったです。最終オーディションに選んだ10人に関しては、『これから何をしてくれるだろう?』という、可能性も含めて選ばせていただきました」

エイベックス・ノウハウでバーチャルの可能性を追求。『AVALON』から生まれる新スター

つまり、このオーディションの目的は、誰かの「変わりたい」を、バーチャル技術によって叶えること。『ReVorn』というオーディション名にも、そうした意味が込められている。

「僕自身も、新卒で入社して5年間ほどはずっと事業管理としてバックオフィス系の業務を担当していて、その当時も、やりたいことはあったものの、『自分にはできないかな』と思っていたんです。そんな折にたまたま社内で新規事業をやるチャンスがやってきて、今ここでやらなかったら一生変わらないなと思い、手を挙げました。そこから2年くらい新規事業に携わり、そこで色んなことにチャレンジしていた中で、バーチャルに出逢い、何もわからないゼロの状態から、必死に勉強して、実際に活動して、失敗を繰り返しながら進んできて、ようやく少しずつやりたいことが出来るようになってきました。そんな経験もあって、『何かを変えたいのなら、死ぬ気になってやらないとできないぞ』と思っていて。それが、一度死んで生まれ変わる=『ReVorn』というテーマに繋がった部分もあると思います。優しい言い方で言うなら、『今までのことを気にしなくてもいいよ』と言いたかったんです。今までのことは忘れて、『ここからもう一回やってみない?』と」

最終オーディションには、タイプの違う個性的なメンバーが揃っている。今回のオーディションに関しては、過度にプロデュースをしすぎないようにすることで、それぞれのアイドルが持つ本来の魅力や、運営スタッフの予想を超えるようなケミストリーが生まれることを期待しているそうだ。現在のところ、12月下旬には1名以上のグランプリが決定し、そのメンバーは『AVALON』での専属契約と、オリジナル曲でのデビューが確約される。

そのとき、
その人でしかできない演出を
“リアル”の個性が彩る
バーチャルエンタテインメント

エイベックス・ノウハウでバーチャルの可能性を追求。『AVALON』から生まれる新スター

では、今後の『AVALON』の展開については、どんなことを考えているのだろうか?

「『AVALON』の所属アーティストとしては2軸で考えていて、パフォーマーとしてステージに立つ人たちだけではなく、裏方として映像や音楽をつくったりする人たちにも所属してもらおうと思っています。『Life Like a Live !』もそうですが、僕らのライヴシステムはかなり属人的で、その人がやらないと、その演出にはなりません。カメラワークも、演出も、別々の人間がリアルタイムで息を合わせることで実現していて、そのとき生まれたものは、そのときにしかできないものですし、人が変われば、その内容はまた別のものになります。僕らは誰が扱っても同じような演出ができるシステムを用意するのではなく、個性派集団/クリエイター集団でありたいと思っているんです。だからこそ、『このライヴを一緒に作りたい』と思ってくれるような人たちも巻き込んでいきたいと思っています。」

そのうえで、コアになるのはやはり「音楽」だ。

「音楽においてバーチャルだからこそできることを考えていきたいと思っています。リアルの姿で有名なアーティストのバーチャル化も進めていきたいですし、オンラインでの体験はもちろん、ゆくゆくはリアルでの要素とオンラインでの要素を混ぜて新しいものを生み出していきたい。まだまだ技術的な制約もありますが、技術は確実に進歩していますし、バーチャルでしかできないことはたくさんあります。おそらく、近いうちに、バーチャル空間により自分が入り込んでいるように感じられたり、より大人数でバーチャル空間に入ったりして、体験を『共有できる』状態になるはずです。それがリアルにも反映されるようになると、両者の狭間がどんどんなくなるはずですから、将来的にはリアルとバーチャルの境界線を曖昧にしていくようなこともしていきたいですし、僕らは何をするべきなのかということを、つねに考えています。リアルでは代替できない体験を、バーチャルで実現していきたいですね。やっと今回の『Life Like a Live !』で、そこに向けていい結果が出せたと思っていますが、今後も様々なことに挑戦していくつもりです」

『AVALON』のミッションは、エイベックスがこれまで培ってきたアーティスト育成の知見を、最先端のテクノロジーと掛け合わせて、新たなアーティスト/エンタテインメントのかたちを生み出すこと。バーチャルならではの特徴を生かしながら、パフォーマンスそのもので観客を圧倒できるような、アーティスト集団を目指しているそうだ。

「バーチャルだからこそ生まれる音楽や体験があると思っていて。それは当然人間には出来ない物理から外れた演出や見た目とかはもちろんそうなんですが、もっと内側の、バーチャルを選んだ人だからこそ、バーチャルで表現をしようとしている人だからこそ生まれるものがあると。そこにある熱量や才能や可能性を、見つけ出して磨いて輝かせるのが『AVALON』の役割だと思っています。これから先は、もっと沢山の人に、バーチャルの音楽のすばらしさを啓蒙していきたいと思っています。老若男女、日本海外問わず、見たら思わず楽しくなるような、『すごい』と驚いてもらえるような、そういうエンタテインメントを目指して、頑張っていきます」

バーチャルアーティストの可能性を追求する事務所として、本格的にスタートした新事務所『AVALON』。ここから未来のエンタテインメントが生まれる日を楽しみにしたい。

エイベックス・ノウハウでバーチャルの可能性を追求。『AVALON』から生まれる新スター

エイベックス・ビジネス・ディベロップメント株式会社
クリエイター事業開発グループ
バーチャルクリエイティヴユニット
原 佳祐

こんな内容

関連リンク

AVALON所属バーチャルアイドル第一期生オーディション #ReVorn2020
まりなす(仮)
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