「週刊少年ジャンプ」で連載中の大ヒットコミック『SAKAMOTO DAYS』。全ての悪党が恐れる凄腕の殺し屋だった主人公・坂本太郎は、ある日コンビニで働く女性・葵に一目惚れをしてあっさり殺し屋を引退。結婚、娘の誕生を経て、ふくよかな体型になった坂本は「坂本商店」を営んでいたが、次々と悪党が迫り来る――。愛する家族との平和な日常を守るため、次々と襲い来る客と戦う【日常×非日常】のソリッドアクションストーリーを、Snow Man 目黒蓮主演、福田雄一監督・脚本で実写映画化。2026年4月公開の大注目作に、株式会社エイベックス・フィルムレーベルズ(AFL)が本作にどのように、どんな思いをもって携わってきたのか、プロデューサーを務める西山剛史、大森美希の2人に話を訊いた。
高まる期待値はプレッシャーにも追い風にも
鈴木祐斗氏の漫画『SAKAMOTO DAYS』は2020年に連載開始。コメディとシリアスが絶妙に折り重なる世界観、独創的な構図と迫力で描かれるアクションシーン、そして魅力的なキャラクターの存在感によって大きな人気を博し、2025年にはアニメ化により国内のみならずアジア、アメリカ、中東を中心にファン層が拡大。原作コミックも全世界累計発行部数が1500万部を突破(2025年8月現在)している。この度の実写映画化にあたりAFLは、製作委員会において「幹事会社」という立場でその舵をとっている。
西山「AFLでは実写映画・ドラマの企画制作・出資・買い付けを主に行なっていて、作品においてプロデューサーという役割で関わることが多いです。本作でも、制作会社のクレデウスさん、原作の出版社の集英社さんと共に弊社もプロデューサーとして参画しています。映画は通常、製作委員会方式による複数社の出資によって製作されます。『SAKAMOTO DAYS』の製作委員会においてAFLは幹事会社という立場で、出資社を集めたり、委員会を潤滑に運営していったりといった役割があります。また出資社との契約締結・資金調達から収益の分配までを受け持つのも幹事会社になります」
西山「幹事会社としてプロジェクトを実現するために根気強く様々な調整を重ね、長い時間を経てようやく公開を迎えられます。制作の現場でもプロモーションの面でも、参画していただいた全社のシナジーを最大化し、プロジェクト全体の成功が各社の実りとなるよう、常に柔軟な進行を心がけてきました」
プロジェクトの成功に向けて各社の意向や強みを尊重するとともに、作品への敬意も大切にして取り組んできた。
大森「世界的に支持されている『SAKAMOTO DAYS』の実写化にあたっては、原作へのリスペクトを持って進めることを、キャスト、スタッフの皆さんがとても大事にしてきました」
西山「作品としても、ファンの熱量という意味でも、とても力を持った原作であることに加えて、主演の目黒蓮さんをはじめとする豪華実力派キャストや『銀魂』『今日から俺は!!』などヒットメーカーの福田雄一監督、制作プロダクションは『キングダム』シリーズや、『ゴールデンカムイ』『国宝』などを手掛けるクレデウスさんという素晴らしいキャスト・スタッフ陣に集まっていただいているので、関係各社内はもちろん世の中からの高い期待値を強く感じています」
原作の力、キャスト・スタッフの力も相まって本作への世間の期待は非常に大きい。それは製作陣にとってはプレッシャーにも追い風にもなり得る。責務は大きいがその分高い目標を目指すことができる。
では本作の製作委員会の座組みには、どんな特徴や強みがあると考えているのだろうか。
西山「エイベックスが幹事会社として裁量を多く持てたことは、大きな特徴だと考えています。また、今作は出資社という意味でのステークホルダーの数が比較的少ない構成だからこそ、自由度をもって進められましたが、一方でエイベックスが果たすべき責任は大きいと認識しています」
エンタメのど真ん中で得た刺激と学び
高い期待値と、それに応えられる強力な布陣。『SAKAMOTO DAYS』は無論、AFLにとって今期を代表する注力作品となっている。撮影現場の規模感もひとつひとつが大きく、AFLの面々は多くの新鮮な経験と刺激を得ることができている。
西山「何をするにもこれまでとスケール感が違う、と折に触れて感じました。なかなかこの規模の作品に関われる機会はないので、あらゆることが勉強にもなりますしやりがいも感じますね」
大森「私もこれまでさまざまな作品の現場に行かせていただきましたが、ここまでの規模の作品は多くはないので、現場でセットを目にした際には、そのスケールの大きさを改めて実感しました。その分、学びも多く、同時に求められるものの大きさに対する責任やプレッシャーも感じています」
エイベックス社内からの熱量の高さもまた感じている。
西山「目指している目標が高い分、社内の注目度ももちろん高いと感じました。先日、劇場公開を間近に控えて社内向けに鑑賞券を提供したのですが、オンラインで申し込み受付を開始してわずか2分足らずで即完してしまったんです」
多忙な業務の中、受付開始を待ち構えて申し込んでくれた社員の多さに驚くと同時に、あらためて社内の大きな期待が目に見えて感じられたのだという。ではそんな本作において、エイベックスらしさとはどんなところにあるのだろうか。
西山「エイベックス“らしさ”は特に意識していないのですが、製作委員会の幹事会社として、集まっていただいた会社やクリエイターさんの個性や持ち味を尊重していくことが大切な役割だと考えています」
とは言うものの、エイベックスならではの強みを感じている部分ももちろんある。
西山「やはり目黒蓮さんが主役に立ち、且つ主題歌もSnow Manが担当しているところにエイベックスとしての強みがよく出ていると思いますし、他にもキャストにはエイベックス・マネジメント・エージェンシー所属の生見愛瑠や山谷花純が出演していて、社内のシナジーを有効に活用できていると思います」
大佛を演じる生見愛瑠
大森は以前、マネジメントの部署に籍を置き、大塚 愛をはじめとするアーティストのマネージャーとして従事したほか、関連してアーティストのキャラクタービジネス、またテレビ局や制作会社への所属俳優の営業業務にあたるなど、幅広い角度でエンタメの現場に携わってきた。
大森「映像作品の現場には、これまで俳優の所属事務所の立場として関わらせていただいてましたが、実際に自分が作品を届ける側に回ってみると、あらためて多くの気づきあります」
エイベックス・グループ内にはモチベーションをもった異動に対する支援制度もあるが、こうした複数の領域での経験や知見によってどのような相乗効果を得られると感じるか大森に訊いてみた。
大森「同じ作品に関わっていても、立場によって大切にしていることが異なり、見える景色が変わることを、自分自身も異なる立場で関わってきた経験の中で感じています」
一方、西山にそんな大森のプロデューサーとしての強みはどこかと訊くと「コミュニケーション力」を挙げる。
西山「例えばクリエイターとの信頼関係の築き方や、対話の重ね方に特徴があると感じています。プロデューサーにはいろんなタイプがいますが、大森はクリエイターに寄り添いながら進めていくタイプ。それはアーティストのマネジメントをしていた頃の経験がよく活きている部分だと思います。長い制作期間を経て映画が無事完成、公開すると、プロジェクトとしては一区切りを迎えますが、信頼関係が構築されていると、次もやろう、という機運が出てくるものです。ビジネスの観点ではそうして取り組みが継続していくことがとても重要ですよね」
これまでにない規模の作品に携わり、得るものも多くあったふたり。ではAFLとして、今後どんなラインナップ、目標を抱いているのだろうか。
大森「私は今年もう一作品、10月16日公開の『mentor』という作品も担当しています。『ヒメアノ〜ル』『空白』『ミッシング』などで知られる𠮷田恵輔さんが脚本・監督を務める、完全オリジナル作品です。過去に囚われたまま大人になった2人の青年と、彼らの運命を静かに、しかし確実に狂わせていく“メンター”の存在を描く、新感覚エンターテインメント作品です。磯村勇斗さんとAぇ! group末澤誠也さんがW主演を務め、“メンター”役は綾野剛さんに演じていただいています。『SAKAMOTO DAYS』とは作風の異なる作品ですが、それぞれの魅力をより多くの人に届けられるよう、引き続き取り組んでいきたいと考えています」
2026年10月16日公開 映画『mentor』
西山「制作の立場である以上、やっぱり“ヒットを作る”ということがシンプルですが一番の目標であり続けると思います。そしてそこに付け加える事として、海外展開ですね。これはエイベックス・グループとして掲げられている指針でもありますし、日本発、海外でも受けるコンテンツを、AFLは実写映像で手掛けていきたいですね」
もちろん『SAKAMOTO DAYS』も、世界に向けての展開を視野に入れ、すでに手応えも感じ始めているという。
そんな本作について、最後にあらためて注目ポイントを訊くと——。
大森「原作の魅力を大切にしながら、アクションの迫力やスピード感を実写ならではのスケールで描いています。その臨場感や緊張感は、ぜひ映画館のスクリーンで体感していただきたいです」
西山「今作はIMAXやSCREENXといったラージフォーマットでも公開されます。大規模での展開を東宝さんが敷いてくださっていますので、ぜひ様々なスクリーンでご鑑賞いただきたいです」
2026年ゴールデンウィーク、いよいよ全国の劇場で幕を開けた実写映画『SAKAMOTO DAYS』。AFLが情熱を注ぎ込んだ本作がきっと日本のエンタメ界に新たな風を吹き込ませてくれることだろう。
(写真左)
株式会社エイベックス・フィルムレーベルズ
映像制作グループ 第2映像制作ユニット
大森 美希
(写真右)
株式会社エイベックス・フィルムレーベルズ
取締役
西山 剛史




