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日本を代表する伝統文化・花火を、次世代に継承する形でアップデートした未来型花火エンタテインメント「STAR ISLAND」。2017年5月に第1回がTOKYO ODAIBA STAR ISLANDで開催され、花火×最先端3Dサウンド×ショーパフォーマンスの融合は見るものに未体験の感動を与えた。アライアンス本部エリア・イベント事業グループでゼネラル・マネージャーを務める坂本茂義は入社以来、新規案件を立ち上げる部署を担当し、これまで「STAR ISLAND」のみならず「ULTRA JAPAN」や「RAGE」等、数々のエイベックスの革新的なイベントに携わってきた。

野外3Dサウンドで生まれる
唯一無二のミュージック花火

「エイベックスはこれまでもa-nationを含め、コンサートの際に花火を活用していました。花火って大衆的であり、やはり集客装置としての圧倒的な魅力がある。僕らもコスト感としては把握していましたが、STAR ISLANDをやるまでは有料の花火大会というものを深くは掘り下げてはいなかったんです。このイベントが始まるキッカケとしては、ULTRA JAPANというイベントの最後に花火を打ち上げる丸玉屋小勝煙火屋店という花火師チームが、音楽と花火を融合させた「お台場レインボー花火」というのをやっていて、それにULTRA JAPANのクリエイティブ・ディレクターの小橋賢児さんが目をつけたのが始まり。その上で “音楽×花火”をエイベックスらしく昇華させられれば、新しい興行として成立するのではないかと考えたんです」

確かに花火×音楽のイベントはそれまでも存在したが、エイベックス及び坂本が目指したのは“より突き抜けたもの”。それに関しては小橋氏が3Dサウンドデザイナーのkatsuyuki seto氏を紹介してくれたのが大きかったという。スピーカー300台を超えるサウンドミックスで生まれる、花火と音楽のシンクロ。「瀬戸くんのように超音波まで掘り下げている人はいなかったし、僕の中で3Dサウンドは目を瞑った状態でビジョンが見えるイメージ」と坂本は語る。

Photo by official

さらにSTAR ISLANDの会場を彩るライティングは、世界中のビッグフェスで活躍するAIBA氏に依頼。圧倒的な世界観を作り出すことができるスペシャリストたちと、坂本が信頼できる仲間たちによってこのイベントは走り出した。その中で映像に関して“VR”という方法も話に出てきたことはあったという。だが、坂本はそれに対して今回は懐疑的だった。

「VRでやっても面白くないなと。VRはもう少し先でいいし、僕にとっては“リアルの体験価値”が圧倒的であるべき。今のVRの、その場に行かなくても体験できる利便性はもちろん素晴らしいことですが、STAR ISLANDに関してはVRを使って生で見ているのと同じ環境……みたいなのはそこで体感した気になってしまうので嫌だった」

今までにないものを生む発想で
クリエイティヴを尖らせる

もちろん、このイベントを開催するにあたって準備段階では課題が蓄積していた。お台場という土地で、1万人以上の観客を集め、最新テクノロジーやパフォーマンスとともに花火を打ち上げる――そこには越えなければいけないミッションがいくつもあった。

「まずひとつは行政。東京都はとてもルールが厳しくて、都が管理している公園を全占有することはものすごく大変で、本来であればダメ。そこをあらゆるコネクションを駆使して交渉・調整していくのが大変だった。あとは現実的にお金。ただイベントに限らず、何かをやるにあたって“コストの中で収める”という考え方はすごくいいことだと思うんですが、そこから今までにないものは生まれないんですよね。なのでこの時はまずは風呂敷を広げるどころか風呂敷を取っ払ってしまって、このイベントにおける『一番すごいと思えることは何か?』という議論をした。もうお金のことはいいから、何やったらスゲーのかなと」

関わるプロフェッションナルたちが、一度お金のことは置いておき、“今までにないものを生む”という命題に向かってクリエイティヴを尖らせる。その結果として生まれたSTAR ISLANDは、事実訪れた観客の度肝を抜いた。ただし、イベントに携わっている当人たちにとっては、花火が打ち上がるその日まで常に不安はあったという。

「とにかくやったことのないことなので最初は不安もあったし、最初チケットが動かなかった時は、『俺やっぱツイてないな』とも思った。『花火にチケット代を払わないよね』っていう議論も散々したけど、これまで実例としてないわけではないので、勝負しようと」

Photo by official

それでも坂本の中では、準備段階で自分の中に「これはもう勝ったな」という確信があった。

「僕らが意識したのは、事業としてどういう仮説を立てるかという点。それこそSTAR ISLANDは世界に持っていくべきイベントだろうと。これまでもエイベックスはa-nationをシンガポールで開催する等、何度かトライはしている。ただしSTAR ISLANDに関しては、言語を問わない表現という点においてあらゆる形で展開できるコンテンツだと考えました。要はローカライズさせていった時に、その地のパフォーマーや宗教をミックスしてやることもできるので自由度が高い。その仮説が立った時点で、このイベントは考え方、つまりビジョンとしてはもう勝ちだなと。だから予算面の課題があっても『すいません、でもこのビジョンがあるので』と説得しました」

仮説を裏付けるものとして、お台場というロケーションも欠かせない強みだった。

「お台場という場所を改めて見直してみた時に、景色の素晴らしさを再確認しました。レインボーブリッジがあって、東京タワーやスカイツリーも見える場所はあそこしかない。世界の花火はロケーションとセットですが、それを参考にしてお台場にしたわけではなく、お台場が世界と同じポテンシャルを持っていたというだけ。お台場なら『世界各国に展開できるロケーション・エンタテインメント』を実現できると思えたんです」

アーティストに寿命はあるが、
STAR ISLANDに寿命はない

「僕の中でSTAR ISLANDってラボに近くて。SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)やSlush Tokyoといった間違いなくそこっていうところで出すのではなく、あえて興行やエンタテインメントの中で具現化するというのが裏テーマとしてあったんです」

STAR ISLANDに隠されたその裏テーマは、ある意味エイベックスらしさとも読み取れる。そして大反響を得て幕を閉じた昨年を経て、今年は新たな仕掛けや展開が待っている。

「昨年は本物のベッドを浜辺に用意して寝ながら見るとか、ディナーをしながら見るとかの仕掛けをしましたが、今後は例えば船で見るとかもいいかもしれない。それをクラウドファウンディングで投資してくれた人に提供するというやり方もあるし、そういった参加者が募れるプラットフォーム作りには興味があります。僕らは花火の新しい見方を提案していきたいし、あとSTAR ISLANDを海外で開催する話も出てきています」

Photo by official

また、テック系のメーカーと話すことも多い坂本だが、彼らは「コンテンツがほしい」と常々言っているという。そこはコンテンツ・ホルダーであるエイベックスの真価が試されるところ。

「利便性のテックだけではなく、エンタテインメント性のテックをプレゼンできればいいのかなと。このテクノロジーだからこそこの体験ができる、というエンタテインメントとしての価値観はつくっていきたい。そうなった時に僕らが考えるべきことは、『圧倒的なものをつくる』ことと『仮説をしっかり立てる』こと。やるべきことはすごいシンプルだと思います」

坂本は「Really! Mad+Pure」というタグラインについて、「ああそうなんだ、でも……それって当たり前だよな……という感覚」とさらりと言ってのける。ただしそれは、STAR ISLANDを開催したことで意識が変わった部分もあるという。それまでは何かのルールの中でやることが多かったが、STAR ISLANDに関しては、とにかく一番になってやろうと思った。類似しているものの中での一番ではなく、無いものの中で一番を目指す――その過程の中でエンタテインメントにおけるクリエイティヴのひとつの基準ができたのだろう。

「2020年に向けて日本に注目が集まるのなら “Made in Japan”によりこだわりたいし、日本発のものをつくっていきたい。STAR ISLANDは海外からも声がかかっているし、一生やっていってほしいと思っています。アーティストに寿命があるけど、STAR ISLANDに寿命はない。ずっと発展し続けて、僕が死んでも続いていってほしい」

インタビュー中に、「◯◯だとおもしろくないよね」という言い回しが印象的だった坂本。エイベックスにとっての正義は、新しく、面白いことでエンタテインメントの感動体験を生むという、とてもシンプルなところにあるのかもしれない。事実それは、昨年のSTAR ISLANDの会場で、圧倒的な感動を味わった観客たちの声で証明された。

エイベックス・エンタテインメント株式会社
アライアンス本部 エリア・イベント事業グループ
ゼネラルマネージャー 坂本 茂義

Photo by 横山マサト

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