5/26(日)、東京・お台場海浜公園内の特設会場にて、STAR ISLAND 2018が開催された。“未来型花火エンターテインメント”STAR ISLAND 2018と題された同イベントは、今年で2回目。昨年は初開催にも関わらずチケットは完売し、さらには日本から世界へ発信する新たなエンタテインメントとして「クールジャパン・マッチングフォーラム2017」の審査員特別賞を受賞した。昨年の好評を受け、さらなる期待の中で開催された今年は、どのような体験を観客たちにもたらしたのだろうか? 1万5,000人が酔いしれた幻想的な一夜の模様をレポートする。
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日没前は開放的なロケーションで
“CHILL OUT TIME”
STAR ISLAND 2018のテーマは“One”。昨年は “四季”をテーマにさまざま音楽を組み合わせた演出が成されたが、今年は各章でEarth、World、Chaos、Loveを表現し、地球誕生から人類の行く末までを表現するという壮大なミッションに挑戦しようとしていた。観客たちにとっても、初開催だった昨年とはまた異なるドキドキとワクワクがあっただろう。
イベントは16:00に開場。オープンの時間が近づくと、最寄りのお台場海浜公園駅の周辺にはSTAR ISLANDに行くであろう人たちが溢れていた。この時点では女性、それもビーチが似合いそうなファッションの“オトナ”の女性が多い印象。ただし会場へ近づくにつれて、デート風の若い男女や、子連れのファミリーの姿も多く見かけた。
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会場内に入ると、すぐさま開放的なロケーションが目に飛び込み、そして耳には心地よい音楽が。3Dサウンドによる“CHILL OUT TIME”は、このイベントのキーマンのひとりである3Dサウンドデザイナー・katsuyuki seto氏が手掛けている。
そして、会場内を歩いていると個性的なパフォーマーたちがお出迎え。パフォーマンスクリエイトカンパニー・ICHIZAのパフォーマーたちが、ジャグリングやラート、アクロバットやジャンピングスティルト等を至るところで披露し、観客と触れ合っていた。
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さらにSHUYA OKINO (KYOTO JAZZ MASSIVE)や SHINICHI OSAWA(MONDO GROSSO)等、豪華DJ陣がビーチのシチュエーションにぴったりの選曲で観客のテンションを上げる。クラブではなく、お台場という開放的なロケーションで聴く音楽は格別なものであった。
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そのほかにも食べ物や飲み物を買ってゆっくり花火の時間を待ったり、ファミリーは特設のキッズエリアで子どもたちを遊ばせたりと、思い思いの方法で明るい時間帯のビーチでチル・タイムを楽しんでいた。そう、花火が打ち上がる前の時間も、このイベントの魅力のひとつなのだ。
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Earth、World、Chaos、Loveをテーマに
驚異のシンクロ
今回、観賞エリアには6つのシートが用意された。ベッドで優雅に花火を見られる「LIMITED STAR SEAT–BED–」や、ディナーも楽しめる「LIMITED STAR SEAT–DINNER–」、さらにカップルにおすすめな「LIMITED STAR SEAT– PREMIUM PAIR–」や、友だちや家族でワイワイ楽しみたい「LIMITED STAR SEAT–GROUP–」等が新たに誕生。花火の見方やホスピタリティの面でも、去年よりパワーアップしていた。
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そして19時20分、いよいよSTAR ISLAND HANABI SHOWがスタート。
全方位的に設置された300台を超えるスピーカーから3Dサウンドが会場内に響き渡る。そのサウンドは圧倒的かつ“体感的”であった。それに世界のビッグ・フェスでも活躍するAIBA氏によるライティングも相まって、これから始まるエンタテインメント・ショーへの期待感が急激に高まっていく。
続いてステージや水上に、ウォーターパフォーマーやファイヤーパフォーマーが登場。さらに周囲を見渡すと、この特設会場を囲う周囲のビルもライトで照らされている。この時に改めて、自分がいるところから見えるすべての景色がSTAR ISLANDの会場なのだと気づく。これこそ、ロケーション・エンタテインメントと評される由縁だろう。
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花火はEarth、World、Chaos、Loveのテーマの順に披露され、色とりどりの花火とそれにシンクロした音楽もテーマに応じて幅広かった。前半の方はポップスやロック、HIPHOP等のノリの良い曲が多く、エアロスミスの『Walk This Way』では文字通り歩いていた人たちも声を上げ、さらにマーク・ロンソン×ブルーノ・マーズの最強ヒット・チューン『Uptown Funk』とともに勢い良く花火が打ち上がると観客は大盛り上がり!また後半に披露されたビョークの『hyperballad』やクラシックの『白鳥の湖』は、花火、ライティング、そしてダンサーのパフォーマンスと見事にシンクロし、その光景はとりわけ幻想的だった。
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パフォーマーには、炎と光のエンタテインメントを創造する雷炎舞集団「かぐづち-KAGUZUCHI-」や、大型フェスの常連ダンサー・KIKI、フライボードで世界大会3度出場の横江交亮、そしてグランドフィナーレに登場したプロバレエダンサーのREINA等、超一流が集結。STAR ISLANDという作品を作り上げるにあたって、重要なピースを担っていた。
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また、この日は入場者に花火と音に連動して光り輝くLED BANDが渡されていて、花火と花火の合間にジョン・レノンの『Imagine』が流れた際、観客がみなで手を振る光景が美しかった。
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1万5000人の想像力を喚起させる
作り手たちの気概と覚悟
2回目の開催となった今回はチケットが事前にソールドアウトし、会場には1万5000人もの観客が訪れた。既存の花火大会とは全く違う、有料の新感覚花火ショーというモデルができたことにより、座席が確保されている安心感や、ベッドやディナー等から様々な見方をできるという特別な体験が可能になり、客層の幅を広げている印象を受けた。
ショーはクオリティを上げつつも新たなパフォーマンスを取り入れ、花火エンタテインメントのさらなる可能性を追求する姿勢が見られた。さらにキッズエリアや授乳室に加えて、今年はグループシートも新設する等、観客へのホスピタリティもこのイベントが大切にしている要素だ。
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またファミリーで言うと、『Uptown Funk』が流れた時に砂浜で楽しそうに親子が踊っている姿が微笑ましかった。そんな姿を見ると、“ダンス・エリア”のような場所があってもおもしろいのではと感じた。STAR ISLANDの提案する「花火の新たな楽しみ方」のひとつとして、優雅に鑑賞する花火に加えて、“踊って体感する花火”があってもいいのかもしれない。
圧倒的な世界観を進化させ、今年も観客に非日常を届けたSTAR ISLAND 2018。“One”をテーマにしたストーリー性のある花火ショーの展開は、きっと観客一人ひとりの想像力を喚起したことだろう。そして、このエンタテインメント・ショーで鮮やかに染まったビーチやレインボーブリッジ、高層ビル群等を見て、改めてお台場というエリアが持つポテンシャルの高さを実感した。
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ただし、STAR ISLANDは始まったばかり。来年の3回目の開催、そしてその先に見据える海外展開等、この先まだまだ進化していくはず。イベントを通じて、未来型花火エンターテインメントの”未来“という言葉には「10年、100年単位で続くエンタテインメント・コンテンツをつくろう」という、作り手たちの気概と覚悟が込められているように感じたのだった。