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2019/7/20(土)、TOKYO STAR ISLAND(東京・豊洲ぐるり公園)にてSTAR ISLAND 2019が開催された。2017年にスタートしたSTAR ISLANDは、過去2回にわたって東京で開催され、いずれもチケットは完売。2018年末には初の海外進出を果たし、シンガポールで行われたアジア最大級のカウントダウンイベントMarina Bay Singapore Countdown 2019のメインコンテンツとして採用され、こちらもチケットが完売した。のべ86カ国・2万人を熱狂させたシンガポールでの成功を経て、3度目となる東京開催はどのような進化を遂げたのか? 当サイトでは昨年に続き2度目となるレポートで、東京に凱旋した“感覚拡張型エンターテインメント”の模様をお届けする。

観客席のバラエティも拡充
Chill Out Timeに目撃した
ホスピタリティの進化

STAR ISLAND 2019は、昨年のお台場海浜公園から会場を変え、豊洲ぐるり公園にて開催。レインボーブリッジを真正面に臨み、東京の摩天楼に取り囲まれた立地の中に現れる緑豊かな公園は、さながら“都会のオアシス”。敷地面積が増えたことにより、様々な面でバージョンアップしているように感じた。

今回のバージョンアップについて、エイベックス・エンタテインメント株式会社の坂本茂義は以下のように解説する。
「ロケーションエンタテインメントとしての魅力向上、既存の花火大会との差別化の徹底のため、今年は様々な点でのアップデートを図りました。よりよいロケーションでの開催はその一つで、東京湾内、豊洲沖での花火打ち上げは史上初となります。さらに、花火打ち上げ位置が近くなり、前年の900mから200mの近距離となりました。また、フード、キッズエリア増設などのホスピタリティ向上や、新体操、BMX、スティルトといった新パフォーマンス導入による演出の多様化などにより、五感を刺激するエンタテインメントをより重層的なコンテンツとして拡充させました」

訪れた人々を未来的な世界観へと誘うSTAR GATEを抜けると、まずはフード&ドリンクのブースとトラックが見えてくる。“食”のバリエーションはこれまで以上に充実。洗練されたファッションの若者から子連れのファミリー、妙齢の男女まで、老若男女が集い、花火打ち上げまでの時間をゆったりと楽しんでいる様子だ。

会場をさらに奥に進むと、観覧席が並ぶエリアへ。今年は観覧席のバラエティが増え、新たにBBQが楽しめる「LIMITED STAR SEAT -BBQ-」などが新設。その他、ディナーを楽しみながら花火ショーを観覧できる「LIMITED STAR SEAT -DINNER-」、ピクニック気分を味わえる「LIMITED STAR SEAT – PICNIC-」など、全11種類のシートが用意されていた。ピクニックシートのそばにはキッズエリアが2ヵ所設置され、ボールプールなどの遊具に夢中の子供たちも多く見られた。

会場内では、昨年と同様にパフォーマンスクリエイトカンパニー“ICHIZA”のパフォーマーがジャグリング、ラート、ジャンピングスティルト、アクロバットなどを披露。また、会場中央に設置されたSTAR ISLANDのモニュメント前では、ヴァイオリニストとチェリストからなるSTAR ISLAND SPECIAL SUNSET ENSEMBLEがオーケストラ演奏を行った他、Licaxxx、Naoki Serizawa、SHINICHI OSAWA(MONDO GROSSO)といった人気アーティストがDJとして登場し、来場者の気分を盛り上げていた。

花火×パフォーマンス×最先端
テクノロジーが感覚を拡張する
パラレルワールドに誘われる
エンタテインメント体験

広い敷地内を見て回るうちにすっかり日が暮れ、いよいよSTAR ISLAND HANABI SHOW開始の時間が近づいてくる。今年のテーマは「2019: A SPACE ODYSSEY」。

「開催日のちょうど50年前となる1969年7月20日は、アポロ11号が人類史上初となる月面着陸を成功させた日。その歴史的な日にちなみ、宇宙への航海をしているような興奮を体感してほしいという思いが込められています」
今回のテーマについて、坂本はそう狙いを語っていた。

波の音と共に聴こえてくる電話の着信音と、「私の声が聞こえますか」という女性の声。そのナレーションが来場者を現実世界から宇宙への旅路に誘い、会場には近未来的な衣装に身を包んだパフォーマーが次々と現れる。客席からわずか200m先の近距離から特大の花火が打ちあがると、一気に非現実的なパラレルワールドへと入り込む感覚に包まれた。

次々に夜空を彩る花火は、日本の花火界の老舗中の老舗・丸玉屋小勝煙火店と、名匠・青木昭夫が代表を務める紅屋青木煙火店、世界的な評価の高いマルゴーの3社が担当。客席から花火までの距離がこれまで以上に縮まったことで、日本の花火ならではのダイナミックさと繊細さの両方がより間近に感じられる。

花火が会場周辺の摩天楼を照らす中、ステージ上ではパフォーマーが人間離れしたパフォーマンスを披露。炎と光を使ったエンタテインメントを見せる雷炎舞集団「かぐづち-KAGUZUCHI-」やポールダンサーの他、今年はBMXライダー、スティルトパフォーマー、新体操の3種が新たに登場した。そのパフォーマーも、2016年世界選手権準優勝の経歴を持つBMXフリースタイルのプロライダー池田貴広、新体操日本代表=フェアリージャパンの深瀬菜月・三浦莉奈・サイード横田仁奈など、世界を舞台に活躍する超一流が勢揃い。花火と完全にシンクロしたアクロバットで、来場者を魅了していた。

ステージから少し先に目を向けると、海の上でも目を見張るようなパフォーマンスが繰り広げられている。アクアボードチームの「Team TeeDee」は体を七色に光らせながら水しぶきを上げて海上を浮遊し、その頭上では日本初登場となる12連のLEDカイトが光り輝いて空中を旋回。花火、海上のパフォーマンス、ステージでのアクロバットと、何層にも連なった奥行きのある演出が立体的に五感を刺激する。

今回、何より驚かされたのは、音楽とパフォーマンスのシンクロ率の高さ。物語の進行に合わせて、海上には大音量の3Dサウンドが次々と流れていくのだが、そのジャンルは荘厳なクラシックからEDM・R&Bなどのダンス・ミュージック、ポップスと様々。ビートやリズム、音色がそれぞれ全く異なるにも関わらず、それらの音楽に完全同期して花火が打ち上がり、上空で弾けるのだ。

また、入場時に来場者一人ひとりに配られたLED BANDが演出に合わせて光り輝き、来場者全員が“傍観者”ではなく、演出の一部となって“参加者”として楽しめるエンタテインメントとなっていた。

刺激的な光と音に満ち溢れた“宇宙の旅”は、グランドフィナーレで今年同名の伝記ミュージカル映画にもなったエルトン・ジョンの「Rocket Man」からエルガー作曲の「威風堂々」へと至り、大団円へ。頭上にはラストを彩るのにふさわしい無数の花火が咲き乱れ、パフォーマー達は全員揃って観客に挨拶。幻想世界の余韻に浸る来場者からは、歓喜の声と拍手がしばらくの間鳴り止まなかった。

世界を魅了し日本を
代表するイベントに——
STAR ISLANDのさらなる飛躍

東京では3回目の開催となった今回も、全券種がソールドアウト。会場には1万5000人もの観客が訪れた。毎年恒例のイベントとして、順調に定着しつつあると言えるだろう。認知度の向上に伴って、客層もさらに広がっているように感じられた。

事後、坂本に今回の反響について聞くと、このような回答が返ってきた。
「WEBサイトへのアクセス数やチケットの完売タイミングが前年と比べ早まった事で、注目の高さを目の当たりにし、非常に強い手ごたえを感じました。また、例年通り、各国の大使や大臣を招聘、新たな国からの開催オファーも受け、一層海外展開に勢いがついたと考えています」

客層の広がりに対応して、ホスピタリティ面でさらなる快適さを追求しようとする姿勢も見て取れる。特に今回、会場を豊洲ぐるり公園に移したことで敷地面積が広がり、さらにゆったりとしたリゾート感覚を楽しめるようになったのは大きいのではないだろうか。新会場での開催により、キッズエリアの拡充、新シートの設置など、より幅広い層が安心して楽しめるようになったのも嬉しい。

また、ショーの完成度で見ても、花火の打ち上げがさらに間近になったことで迫力が増し、新たなパフォーマンスの追加と共にクオリティが向上。既存の花火大会とは全く異なる体験を提供する“感覚拡張型エンターテインメント”の独自性がより顕著になったと言える。

3回目の東京開催が大盛況となったSTAR ISLAND。今後は海外展開を加速していくという。2019/9/23には、サウジアラビアでSTAR ISLAND SAUDI ARABIA NATIONAL DAY EDITIONの開催を予定。同日はサウジアラビア建国記念日ということもあって、特別なイベントとなるに違いない。

坂本によれば、サウジアラビア公演は以下のようなテーマで開催される。
「今回、経産省とサウジ政府の協議の中で、エイベックスに白羽の矢が立ちました。日本・サウジアラビア2国間協力の羅針盤となる『日・サウジ ビジョン2030』の基本方針に則り、2国間の関係向上とサウジのエンタテインメント、娯楽市場の発展に寄与するという狙いのもとで、サウジアラビアが観光立国としての発展を目指す2030プロジェクトのストーリーを表現する形となります。サウジの少年がサウジのシンボルである鷹と会話し、世界への旅に出る。10年後の2030年、発展を遂げているサウジに戻ってきた少年が、世界を見て回って改めてサウジアラビアのすばらしさに気付く、というオリジナルのストーリーが展開されます」

また、シンガポールでMarina Bay Singapore Countdown 2019の反響を受けて、同カウントダウンイベントにて2020年末まで3年連続でSTAR ISLAND SINGAPORE COUNTDOWN EDITIONの開催が決定している。

STAR ISLAND SINGAPORE COUNTDOWN EDITION開催時の様子

STAR ISLAND SINGAPORE COUNTDOWN EDITION開催時の様子

来年には東京オリンピックも控え外国人観光客が増加する中で、STAR ISLANDが今後日本を代表する風物詩イベントとなっていくためには、外国人客へのホスピタリティの充実が望まれていくだろう。

日本の伝統である花火、最先端テクノロジーとパフォーマンスをシンクロさせ、五感を刺激する体感型のショーへと昇華したSTAR ISLANDは、言葉を介さずとも世界を魅了できる、貴重な日本発・新型エンタテインメントになりつつある。さらなる海外展開、そして次の国内開催と、STAR ISLANDの今後の発展に期待したい。

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