2月15日は国際小児がんデー。小児がんについての啓発を行い、世界中の小児がん患者、小児がんサバイバー、そしてその家族のために支援を募る日です。この日に行われる小児がん治療支援チャリティーライヴ「LIVE EMPOWER CHILDREN 2023 supported by 第一生命保険」に出演されるTRFのETSUさん、CHIHARUさん、に、ダンスをとりまく環境の変化、長期的なキャリアを作る秘訣、長い間最前線で活躍するおふたりが考える持続可能な社会貢献の形について、サステナビリティ推進室の学生メンバーが話を伺いました。
▶今年TRFデビュー結成30周年という、節目の年になると思います。ダンサー、ダンスクリエイターというお仕事を長期間行ってきて、見えてきたものはありますか?
CHIHARUさん:1998年頃は、ダンスは大人がやるもので、全国でオーディションの告知を出しても2〜3人しか応募がない状況だったんです。
ETSUさん:大人の中でもダンスをしているのはごく一部の人しかしないという感じで。
CHIHARUさん:年々ダンサーの数が増えていき、今ではオーディションを受けるのが大人より子供の方が多いほど、ダンスの裾野が広がりました。昔はダンスはあまり一般的ではなかったので、学校でダンスの授業が必修化される時代が来るなんて想像もできませんでしたね。
TRFはボーカル、サウンドクリエーター、ダンサー・ダンスクリエーターで構成されているユニットです。1992年にTRFがデビューした当時は、ダンサーはボーカルを盛り上げる"バックダンサー"という捉えられ方で、"アーティスト"として認識されていませんでした。歌番組に出演しても私たちが座る場所すらなく、"動く大道具"なんて言われたこともあるぐらいです(苦笑)
少しずつ楽曲の中でダンスの重要性が認識されていくようになって、"パフォーマー"という言葉も浸透するようになりました。
ETSUさん:今ではダンサーが一つの職業として確立されていて、一般に認知されていることが、本当にすごいことだと思っています。
▶これだけ長い間、最前線で活躍することができる秘訣はなんですか?キャリアを重ねていく上で、大事にしていることはありますか?
CHIHARUさん:「継続は力なり」ということだと思います。
自分がやるって決めたら、どんなことがあっても続ける覚悟を持つことが秘訣です。自分が動き続けていくためには、毎日とにかく継続してトレーニングを行わないといけないわけです。しっかりと自分に向き合い理解する期間があったことが、長く続けられた理由の一つかなと思います。今は、トレーニングで「よっこいしょ」みたいな感じで、年齢的に辛い部分ももちろんあります(笑)
(ETSUさんの方を向いて)よく続けているよね、私たち(笑)
ETSUさん:もし一人で活動していたら、ここまで続けられていたかわかりません。仲間がいたり、自分を必要としてくれる場所があるからこそ続けられたと思っています。続けているから良い場所に巡り合えるのか、良い場所に巡り合えるから続けていけるのか、どっちが先なのかは分からないですけどね。
CHIHARUさん:若いダンサーから「先が見えないです」「 ダンサーになることができたけれど、安定した生活が出来ないんです」という相談をよく受けます。先のことを考えると不安になって、立ち止まってしまうのもよく分かるんです。
そういう時には「不安なときほど続けること重要なんだよ!」と言っています。将来の不安から、ダンス以外の仕事に飛びついてしまう人もいて。仕事の幅が広がっていくことはいいことだけど、明らかにレッスンやトレーニングが疎かになってしまうことがあります。私たちとしてはどんどんスキルを磨いて磨いて、「この人でなければダメだ」と思われるようなスペシャルなダンサーになって欲しいと思っています。
ETSUさん:それが一番難しいことなんですけどね。(CHIHARUさんの方を向いて)こういう高い意識の人のもとで活動したら、どんどん上手くなれるんじゃないですか(笑)
ダンスを仕事にしていくのはとても難しいですよね。しかし努力してうまくなれば、絶対に仕事がついてきます。 「上手くなりたい」「絶対に誰にも負けない」という気持ちを持ち続けて、行動した先に何かが生まれると思うんです。私たちもそうやってここまでやってきました。
▶ダンスやエンタテインメントは、どのような形で社会に貢献できると思いますか?
CHIHARUさん:今私たちは、高齢者向けのダンスプログラムを立ち上げ、普及のお手伝いをしています。誰もが無理なく踊ることのできる「ダレデモダンス」というプログラムを考案し、これを基盤にした形で、運動機能の向上と認知機能の改善を目的とした「リバイバルダンス」をSAM・ETSU・CHIHARUの3人で行っています。
ダレデモダンスは、本当に「誰でもできるダンス」なんです。1曲約5分間の間に、体を動かす・振りを覚える・頭を使う、というこの3つを同時に行うことで、健康に繋がります。それと同時に、自宅以外でもダンスをやるコミュニティがあるのも大事なことです。例えば、人と集まったりするとおしゃべりもできるし、「何を着て行こうかしら」とか思えるわけですよね。ダンスが、人との交流を生み、心身ともに健康になるきっかけとなっています。
ETSUさん:TRFのメンバー同士でも「私たちがずっとやってきた音楽やダンスをはじめとするエンタテインメントが、社会で役に立っていることがすごいよね」と話をよくしているんです。実際に私たちが教えに行った場所で、高齢者の方々の生き生きとダンスをされている様子を目の当たりにすると、こういう取り組みがもっと広がって行ってほしいなと思っています。最近の若い人がTikTokをやるような、そんな気軽な気持ちで高齢者の皆さんに取り組んでもらえるよう、私たちも広めていきたいです。
私自身も将来のことを考えると、どのような選択が正しいのか悩むことが多くあるため、若いダンサーの方が直面する悩みにはとても共感できる部分がありました。悩む時間が増えて不安になると違う仕事に飛びついてしまうダンサーの方もいると伺って、私もきっと同じ状況であればそういう選択をしてしまうように思います。ですが、辛くて不安な時こそ続けていくことが重要というお言葉は、おふたりのキャリアが証明しているようにとても重みがありました。
私もこの先悩んだり不安になって立ち止まりそうになった時には「継続は力なり」が大切だと自分に言い聞かせ、ETSUさん、CHIHARUさんの年齢になった時に、たくさん努力してきた経験を、誰かに話せる人になりたいと思いました。
(担当)大野 夏奈子